2023年の中央競馬は、5日の中山と中京で開幕する。全国10競馬場で繰り広げられる年間のべ開催288日の戦いを、より一層盛り上げるのは“若い力”だ。スポーツ報知では、ルーキーイヤーの昨年、大活躍した今村聖奈騎手(19)=栗東・寺島厩舎=と角田大河騎手(19)=栗東・石橋厩舎=の同期対談を企画。幼なじみでもある2人は、ほんわか新春トークで盛り上がるとともに、2年目への闘志を新たにした。(聞き手・水納 愛美)
―JRA10人目の女性騎手としてデビューした今村騎手は年間51勝で史上5人目の新人50勝に到達。7月のCBC賞ではテイエムスパーダとのコンビで史上4人目の重賞初騎乗Vも成し遂げた。角田河騎手も36勝を挙げ、先月の朝日杯FSではウメムスビ(15着)で新人一番乗りのG1初騎乗。2人とも中身の濃いルーキーイヤーだった。
今村騎手(以下、今)「こういう結果が出るとは想像していなかったぐらい恵まれた環境で、1年目を終えることができました」
角田河騎手(以下、角)「レースでは未熟な部分もあり、結果には満足していないですが、充実した1年を送れたと思います」
―2人は幼なじみで、小学校からの同級生。
角「(今村は)小学校1年生のときに学校が嫌いで、行きたくないって言ってたんですよ。幼なじみの僕の隣(の席)ならいいって話になって、隣になって1週間でけんかしました」
今「そっから仲悪くなりました(笑い)」
―仲良くなったのはいつから。
角「競馬学校で担当する厩舎が一緒だったんですよ。ちゃんと協力しないとなっていうのは、そこで生まれた」
今「お互いがちょっと大人になった」
―相手の性格を一言で表すと。
今「いい意味でも悪い意味でも冷静で落ち着いています。私は焦るし結果を出したい(思い)が先に来てしまう。そこが彼と違うところだと思って、物事を落ち着いて処理するようにしている」
角「(今村は)負けず嫌いかな。意地っ張りで負けたくない気持ちをあらわにするんじゃなくて、負けたくないからこそ人一倍競馬も見て、騎乗する馬を一番深く知ろうとしている」
―ここだけは負けたくないところは。
今「全部って言いますよ(笑い)」
角「言ってないだけで、負けてる部分もお互い感じていると思います。分かってるから自分で何かやる。だからいい刺激になっています。勝ち星が聖奈と離れていることを気にしたことはありましたし、立て直すにも少し時間はかかりました」
今「私だって、彼がデビューしていきなり2連勝してめちゃくちゃ面白くなかった。けど逆に彼で良かった。学校生のときから技術もあったし、妥当だなみたいなのはあったかな」
―自分だけが知っている、相手の隠れた一面は。
今「お互いアホすぎる(笑い)」
角「誰かが話していても、振り返ったら僕いないとか」
今「聞いてる?って聞くと『ん?何?』って。それで、もういいわ!って言ったら、キレてくるんですよ(笑い)」
角「最近、聖奈が料理してるって言ってるんですけど簡単な料理しかしてないですから。料理してる風やから」
今「卵スープもオムライスも鍋もフレンチトーストも作れる」
角「まあ僕、卵割れないんで、卵割れたら上等ですよ」
今「卵焼きも作れましたよ。やればできるんですよ」
角「簡単やから」
今「卵割れへん人に言われたくない」
角「卵割れたら簡単や」
―最後に、デビュー2年目となる今年の抱負を。
今「けがなく、たくさんの人に応援されるように頑張りたいです。去年勝った数のうち、納得いくレースは半分以下だったし、納得いくレースをもっと増やしていきたいです」
角「僕もけがをしないことが一番ですし、その中で活躍し続けられる年にしたいです」
◆今村 聖奈(いまむら・せいな)2003年11月28日、滋賀県生まれ。19歳。22年3月に栗東・寺島厩舎からデビュー。CBC賞ではテイエムスパーダに騎乗し、史上4人目、JRA女性騎手では初の重賞初騎乗初勝利。22年はJRA51勝をマークし、史上5人目の新人50勝を達成した。158・5センチ。47・4キロ。
◆角田 大河(つのだ・たいが)2003年5月21日、滋賀県生まれ。19歳。22年3月に栗東・石橋厩舎からデビュー。同月5日に初騎乗初勝利を果たすと、史上3人目のデビュー2連勝を飾った。22年は新人2位のJRA36勝。父は元騎手の晃一調教師で、兄は21年デビューの大和騎手。165センチ、46・7キロ。