24年前の大穴激走 野元昭嘉騎手「うまくいきました」エイシンビンセンスの完璧な作戦ー99年北九州記念

会心の騎乗でエイシンビンセンスを重賞勝利に導いた野元(馬上)
会心の騎乗でエイシンビンセンスを重賞勝利に導いた野元(馬上)

 狙いすました一戦だった。99年7月の北九州記念。エイシンビンセンスの主戦・野元昭嘉元騎手(47)は、昇級戦で8番人気の伏兵扱いにも自信を胸にゲートに入った。「アンブラスモア(2番人気)が逃げるのは分かっていたので、好位の内でじっとマークしておいて直線で差せればいいなと思っていた」。明確にレースイメージをつくり、勝負に出た。

 想定通りにアンブラスモアが逃げ、エイシンビンセンスは5番手を追走。4角で早々と2番手につけてライバルに照準を定めると、最速タイの上がりで1馬身差退け、愛馬を初の重賞タイトルへと導いた。デビュー19戦目だったが、うち16戦で手綱を執って特徴を知り尽くしていたからこその作戦勝ち。「ずっとコンビを組んでいたし、素直でおとなしい乗りやすい馬だったから。うまくいきました」と懐かしむ。

 12年の騎手引退後、助手に転向した。今は栗東・渡辺厩舎で調教助手として、昨年のジャパンCを制したヴェラアズールなどの調教をつける充実の日々を送る。「馬とのコンタクトを大事にしている」。騎手時代からかかる馬など癖馬を調教することに定評があったが、「オープン馬でも未勝利馬でも同じ思いを持って乗るのが僕のモットー。一頭一頭、その馬に合う調教を」と志す。会心の重賞勝利から24年。仕事は変わっても、馬との向き合い方はみじんも変わっていない。(松末 守司)

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