◆第57回スプリンターズS・G1(10月1日、中山・芝1200メートル)
再来年で定年を迎える音無厩舎も2頭出しで挑むが、ピクシーナイトの雰囲気がいい。前走のセントウルSでは発馬直後につまずき、位置取りが悪くなったのが響いて8着。ただ、上がり3ハロンは自己ベストの32秒9を計時し、復調気配は確かだ。
今年は長期休養から復帰して3戦。そろそろ実戦勘を取り戻してくる頃だ。「ずいぶん良くなってきたよ。勝った時以来の中山になるのもいい」と音無調教師は手応えを感じている。
復活へ、とっておきのスパイスが用意された。福永祐一技術調教師が調教に騎乗しているのだ。21日も栗東・坂路で59秒6―14秒3と調整程度だが、すでに久々のコンビを結成している。福永師は騎手時代、21年のスプリンターズSでピクシーを頂点に導いた。この馬の良さを引き出すには最適の人材だろう。トレーナーも「最終追い切りも福永調教師に乗ってもらうから、楽しみなんですよ」とニヤリと笑みを浮かべた。かつての主戦の調整で輝きを取り戻す。
もう一頭、唯一の3歳牝馬モズメイメイは前走の北九州記念で行ききれず10着だったが、今回は3戦3勝で重賞2勝と相性がいい武豊が騎乗予定だ。「1週前は馬なりで。輸送もあるし、牝馬なので当週もそんなにはやらないよ」(音無師)と、すでに仕上がっている。最軽量の斤量54キロ、抜群のスタートダッシュでハナは譲らない。
安田隆厩舎と同じ95年開業でJRA・G1は同じ14勝。スプリントG14勝目へ、色気を持って2頭を送り込む。(山下 優)