【香港スプリント能力分析】今年はイギリスから大物牝馬のハイフィールドプリンセスが参戦

マッドクールはキャンター調整(カメラ・高橋 由二)
マッドクールはキャンター調整(カメラ・高橋 由二)

 G1香港スプリントが12月10日に迫った。過去5年の調教国別成績は、香港が4勝、2着4回、3着5回と圧倒的に優勢。次いで日本が1勝、2着1回といった具合だ。そんな中、今年はイギリスから大物が参戦する。

 ハイフィールドプリンセス(牝6歳、英・クイン厩舎)は2022年の欧州最優秀スプリンター。同年の仏G1モーリスドギース賞(芝1300メートル)、英G1ナンソープS(芝5ハロン)、愛G1フライングファイヴS(芝5ハロン)と3か国でG1・3連勝を決めた。

 今年も英G1キングズスタンドS2着、英G1クイーンエリザベス2世ジュビリーS3着、G1ナンソープS2着と欧州トップレベルの短距離戦で活躍。前走の仏G1アベイドロンシャン賞(芝1000メートル)を制し、G1タイトルを追加した。4走前の英G2キングジョージS(芝5ハロン)を見ても、相手に恵まれたとはいえ、後続に3馬身差と決定的な差をつけて楽勝。欧州勢初の香港スプリント制覇なるか注目したい。

 マッドクール(牡4歳、栗東・池添学厩舎)は前走G1スプリンターズS2着。ママコチャにハナ差だけ及ばなかったが、G1級の能力を示したと言っていい。馬体重530キロ台と大型馬である点も、香港スプリントにおいて好材料となる。

 地元勢はどうか。前哨戦分析で記したラッキースワイネス(セン5歳、香・マン厩舎)、ウェリントン(セン7歳、香・リチャーズ厩舎)のほかにも侮れない馬がいる。

 サイトサクセス(セン7歳、香・サイズ厩舎)は昨年の香港スプリントで2着。2走前のG2プレミアボウル(芝1200メートル)では、ハンデが相手より6キロ軽かったとはいえラッキースワイネスを破った。また、ラッキースワイネス、ウェリントンに次ぐ3着となった今年2月のG1センテナリースプリントCも高く評価できる。

 ビクターザウィナー(セン5歳、香・シャム厩舎)は上昇中の一頭。前走ジョッキークラブスプリントでは、勝ったラッキースワイネスにクビ差まで迫る2着。3走前のクラス1ハンデ(芝1200メートル)では、同馬に2馬身半差をつけて勝利した。もちろん斤量面で恵まれたことは考慮しなければならないが、スプリント王者との戦いで徐々に力をつけている印象だ。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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