小欄ではG1香港ヴァーズについて血統面から検討したい。一番手はウォームハートだ。
父は大種牡馬ガリレオ。父の産駒は、2015年と2017年のハイランドリール、2020年のモーグルが当レースを制している。また、この2頭は母の父にデインヒルを持つ共通点があった。
ウォームハートは母の父にデインヒル系ファストネットロックを配しており、ハイランドリールとモーグルの血統構成に近い。さらに父ガリレオ×母の父ファストネットロックの組み合わせからは、香港ヴァーズと同じシャティン芝2400メートルのG1チャンピオンズ&チャターCを連覇したロシアンエンペラーも出ている。母シーサイレンは豪G1マニカトSなどスプリントG1・3勝を挙げた快足馬だ。
ガリレオ 鹿毛1998 サドラーズウェルズ系 | サドラーズウェルズ 鹿毛 1991 | ノーザンダンサー |
FairyBridge | ||
アーバンシー 栗毛1989 | Miswaki | |
Allegretta | ||
SeaSiren 鹿毛2008 ダンチヒ系 | FastnetRock 鹿毛2006 | デインヒル |
PiccadillyCircus | ||
ExpressASmile 鹿毛1995 | SuccessExpress | |
HoldThatSmile |
ジェラルディーナも期待が大きい。父モーリスは暮れの香港国際競走においてカップとマイルの2階級制覇を達成。また、父の父スクリーンヒーローの産駒には昨年の当レースに勝ったウインマリリンがいる。
母ジェンティルドンナはG1ジャパンC連覇、G1ドバイシーマクラシック制覇などG1・7勝の歴史的名牝。母の父ディープインパクトは父として2019年と2021年の香港ヴァーズ優勝馬グローリーヴェイズを送る。春先のG1クイーンエリザベス2世Cでは不発に終わったが、シャティンの馬場はジェラルディーナにとって合っているはず。巻き返しがあっていい。
モーリス 鹿毛2001 ロベルト系 | スクリーンヒーロー 栗毛2004 | グラスワンダー |
ランニングヒロイン | ||
メジロフランシス 鹿毛2001 | カーネギー | |
メジロモントレー | ||
ジェンティルドンナ 鹿毛2009 サンデーサイレンス系 | ディープインパクト 鹿毛2002 | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
ドナブリーニ 栗毛2003 | Bertolini | |
CalNorma'sLady |
ゼッフィーロは、父が前記グローリーヴェイズと同じディープインパクト。こちらも母方の血統が優秀で、4代母にG1BCマイル連覇などG1・10勝のミエスクを持つ。このファミリーからは名種牡馬キングマンボ(エルコンドルパサー、キングカメハメハの父)をはじめ、数えきれないほどの一流馬が続出。G1ドバイターフのリアルスティール(レーベンスティールの父)とG1香港カップのラヴズオンリーユーもミエスクファミリーに属している。
ディープインパクト 鹿毛2002 サンデーサイレンス系 | サンデーサイレンス 青鹿毛1986 | ヘイロー |
WishingWell | ||
ウインドインハーヘア 黒鹿毛1991 | Alzao | |
Burghclere | ||
ワイルドウインド 鹿毛2008 ダンチヒ系 | DanehillDancer 鹿毛1993 | デインヒル |
MiraAdonde | ||
ウーマンシークレット 鹿毛2002 | サドラーズウェルズ | |
Monevassia |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。