【香港ヴァーズ前哨戦分析】11月4日の米BCフィリー&メアターフ・G1を海外競馬通・成田幸穂が解説

ウインマリリンがゴール前抜け出した昨年の香港ヴァーズ
ウインマリリンがゴール前抜け出した昨年の香港ヴァーズ

 香港国際競走が12月10日に香港のシャティン競馬場で行われる。G1香港ヴァーズ(芝2400メートル)に向けたステップレースとして、11月4日の米G1BCフィリー&メアターフ(サンタアニタパーク競馬場・芝10ハロン、12頭立て、牝馬限定)を取り上げたい。ウォームハート(牝3歳、愛・Aオブライエン厩舎)が出走した。ラジオNIKKEIの実況中継で解説した手前、自戒を込めて記す。

 勝ったのはイギリスの4歳馬インスパイラル。中団の内ラチ沿い8番手を追走し、最終コーナー外めを回って進出すると、鋭い末脚を使ってゴール寸前に差し切った。勝ち時計は1分59秒06(良馬場)。

 インスパイラルは欧州最優秀2歳牝馬と同3歳牝馬に輝く名マイラー。ここは初の中距離戦で理想的な展開でもなかった。それでも牡馬相手に仏G1ジャックルマロワ賞を連覇した地力で押し切った印象。戦前にインスパイラルの懸念事項をいろいろとあげつらった筆者、今もなお脱帽である。

 ウォームハートはクビ差の2着。好位の4番手あたりを追走し、最後の直線では一旦先頭に立つ見せ場を作った。勝ち馬の決め手には屈したが、追い上げたカナダのモイラ(3着)や日本のウインマリリン(4着)を振り切った。

 ウォームハートは英G1ヨークシャーオークス(芝11f188ヤード)と仏G1ヴェルメイユ賞(芝2400メートル)の覇者。いずれも広く、直線の長いコースでの勝負強さが光った。一方、小回りで直線が短く、速い時計も出やすいサンタアニタの舞台で能力を発揮した点は、シャティンでのレースに向けて好材料。距離が10ハロン(2000メートル)から2400メートルに延びることもプラスに働くだろう。香港ヴァーズ3連勝を狙う日本勢にとって、最大の脅威となりそうだ。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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