◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
競馬記者をしているとジョッキーの意外な一面を知る。例えば、障害史上最強馬・オジュウチョウサンの主戦を務めた石神深一(しんいち)騎手(42)は、アベレージ200超えというプロ顔負けのボウリングプレーヤー。息子の深道(ふかみち)騎手(19)いわく「競馬よりも厳しく指導される」とのことで、その熱中ぶりがうかがえる。
女性ジョッキー・古川奈穂騎手(24)は経歴に驚かされた。関西所属だが、出身は東京都。港区にある中高一貫の進学校・私立広尾学園に進み、青春時代は六本木のスターバックスに通っていたという都会派だ。
歴史、特に幕末が好きな“歴女”でもある。昨年7月に札幌競馬場で取材した際には歴史トークに花が咲いた。その中で、記者も古川騎手もどうしても思い出せない言葉があった。江戸時代の関所で厳しくチェックされていたもの、という概念は覚えていても単語が出てこなかった。
すると翌日、調教を終えた騎手が駆け寄ってきて「思い出しました!『入り鉄砲に出女』ですよ!」とニッコリ。「一度気になると、答えが出るまで考えないとダメなんですよね」と、すっきりとした表情を浮かべていた。
その探究心は競馬にも生かされ、馬の分析は的確かつ端的。21年のデビューから7→10→25勝と順調に勝ち星を積み上げた。昨年は落馬による顔面骨折で9勝止まりながら、11月のJBCスプリント(佐賀)では自身初のG1級レースを経験。25年はさらなる飛躍に期待したい。(中央競馬担当・角田 晨)
◆角田 晨(つのだ・あきら) 2016年入社。ボートレース担当を経て、23年から中央競馬担当に。思い出の馬はオルフェーヴル。