◆第39回根岸ステークス・G3(2月2日、東京競馬場・ダート1400メートル=1着馬にフェブラリーSへの優先出走権、稍重)
第39回根岸S・G3は2日、東京競馬場で行われ単勝2番人気のコスタノヴァ(横山武)が外から差し切り重賞初制覇を決めた。これで東京コースは5戦5勝。フェブラリーS(23日、東京)への優先出走権を獲得し、期待が膨らんだ。
底冷えした府中の空気を豪脚で一変させた。発馬を決めて中団で脚をためたコスタノヴァは、残り400メートル付近で外に持ち出すと一気に加速。後続を突き放し、最後は2着馬に4馬身差をつけて重賞初制覇を飾った。初コンビだった横山武は「理想的なポジションで運べましたし、最後に進路を見つけてからの伸び脚は想像以上でしたね」と右手でガッツポーズだ。2着のロードフォンスに騎乗した兄・和生と、重賞では2度目のワンツーとなった。
前走のクラスターC(6着)の後は武蔵野Sを目指していたが、レース当週に左目の外傷で回避していた。そのため今回は5か月半の休み明けと間隔が空いたが、木村調教師は「今週水曜日に追い切ってから、金曜日の(美浦・坂路での)動きがかなりいい変化をしていたので、全く足りないところじゃないところまできたと思っていた」と手応えをつかんでいた。レース前日も美浦・Wコースで5ハロン73秒1―12秒6としまい重点で攻めて、厩舎力を発揮してみせた。
3歳3月のデビュー2戦目でダート路線にかじを切って以降、計8戦で掲示板を外したのは前走のみと伸びしろにあふれている。特に東京コースでは5戦5勝と“府中の鬼”。もともと素質を感じ取っていた指揮官が「若い時から一生懸命走ってくれている。競馬場に来るとガラッと雰囲気が変わって、すごいなと思いますね。終わったらグッとオフになりますし」と、思わずうなるほどだ。
1着馬に与えられるフェブラリーSの優先出走権を獲得して、今後への期待は膨らむばかり。ダート重賞初Vとなった木村師は「この間もトラブルがあったりしているし脚元も固まっていないので、うれしいですけど、軽はずみには言えない」と慎重に言葉を選んだが、秘める才能が開花しつつあるのは間違いない。群雄割拠のダート界に新たな雄が誕生した。(坂本 達洋)
◆コスタノヴァ 父ロードカナロア、母カラフルブラッサム(父ハーツクライ)。美浦・木村哲也厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算9戦6勝(うち地方1戦0勝)。総獲得賞金は1億1732万1000円。重賞初勝利。馬主は吉田勝己氏。