志半ばでの若手騎手の引退はもう見たくない…ベテランジョッキーから息子への厳しい言葉

和田竜二騎手(左)と長男・陽希くん
和田竜二騎手(左)と長男・陽希くん

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 昨今の中央競馬では、騎手が禁止されているジョッキールームへのスマートフォン持ち込みや不正使用などが相次ぐ。特に若手の違反が顕著で、競馬学校時代から厳しい訓練を乗り越えてたどり着いた職業を、志半ばで離れなければならない負の連鎖が続く。

 11日に千葉・白井市にあるJRA競馬学校の卒業式を取材した。独特な雰囲気で粛々と式が進められる体育館には、現役の和田竜二騎手の姿があった。テイエムオペラオーとの名コンビでジャパンCや有馬記念を制覇。G18勝を挙げた47歳で、記者と同い年ということもあり、ひと言ひと言丁寧に対応する姿が印象的だ。

 今年は長男・陽希(はるき)くん(17)が見事に合格を果たし、来月からプロの騎手としてデビューする。模擬レース最終戦に騎乗する姿を見て「(競馬学校に)入った時は大丈夫かなという感じだったけど、いいところを伸ばしてもらいました」と父の顔を浮かべた。

 一方で、こんな言葉も口を突いた。「信頼を失うのは早い。社会的責任、ルールを守りプロとしての自覚を持って臨んでほしい」。近年の不祥事を憂い、ベテランジョッキーとして競馬界を、息子を思っての厳しい言葉。2018年に宝塚記念で17年ぶりにG1を制し、男泣き。心の底から引退者を出したくないという熱い思いを感じた。私ももう若手が離脱する姿を見たくない。先輩からの熱い言葉が若手に届いてほしい。(レース担当・石行 佑介)

 ◆石行 佑介(いしごう・ゆうすけ) 98年入社。レイアウト担当を経て、19年11月から中央競馬担当。直線が短いトリッキーなコースを予想するのが好き。

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