【フェブラリーS】個人牧場希望の星だ!アルクトス生産の須崎牧場、89年皐月賞馬ドクタースパート以来のG1制覇目指す

昨年7月のプロキオンSを制したアルクトスと、誇らしげな須崎孝治さん(左)
昨年7月のプロキオンSを制したアルクトスと、誇らしげな須崎孝治さん(左)

◆第37回フェブラリーS・G1(2月23日・ダート1600メートル、東京競馬場)

 第37回フェブラリーS・G1(23日、東京・ダート1600メートル)で、G1初制覇を狙うアルクトス(牡5歳、美浦・栗田厩舎)。生産した北海道新冠町の須崎牧場は、1989年に皐月賞を制したドクタースパート以来となる生産馬でのG1勝利が懸かる。社長夫妻を含めて6人で経営を続けている生産牧場の希望の“星”が、31年ぶりの栄冠へ全力で走る。

 昔ながらの牧場の夢は31年ぶりのG1勝利。アルクトスを生産した北海道新冠町の須崎牧場は、かつて平成元年(89年)の皐月賞馬ドクタースパートを生んだことで知られる。1961年創業で広さは東京ドーム6・8個分の32ヘクタール。現在は社長夫妻と息子の栄治さん夫妻、従業員2人で運営し、繁殖牝馬は18頭。間もなく出産シーズンを迎える。

 昨年のプロキオンSの勝利は、29年ぶりの生産馬での重賞勝ち。父の光治さんから牧場を引き継いだ現社長の須崎孝治さんは「母もうちの生産馬のホシニイノリヲで、アルクトスの馬名の意味はギリシャ語で北斗七星。当日が七夕の日と聞いたのは、レースが終わってからでした。うれしかったですよ。勝てると思って、北海道から中京に行っていました」と苦労が報われた思いだった。

 須崎さんはエスポワールシチーなど、多くの種牡馬を取り扱う株式会社優駿の代表も務めている。米国のヘニーヒューズをはじめ、海外からも多くの一流種牡馬を導入して日本の競馬を支えてきた。「優駿の種牡馬だったアドマイヤオーラ(15年に死す)で重賞を勝てたのだから格別でした。今は芝で勝つのは難しくなりました。去年、芝の22のG1のうち、18勝がノーザンファームの生産馬ですから。でも、ダートは大手ばかりじゃないんですよ」と大勢力に対抗する道を模索してきた。

 生まれた当時から好馬体が目立ったアルクトスは、日高のセレクションセール(16年1歳)で1900万円(税抜き)で山口功一郎オーナーが落札。期待通りに成長し、7勝を積み上げてきた。須崎さんは「何とかもう一回、G1を勝ちたいです。ドクタースパートが皐月賞を勝ってからすぐにバブルがはじけて、馬が売れなくなった時期はあったけど、牧場を辞めようと思ったことはありません。馬は私の天職です。フェブラリーSはもちろん応援に行きますよ。東京は得意だから頑張ってほしいです」と期待大。牧場の熱い応援を背に、真冬の府中で星が輝く。(内尾 篤嗣)

 ◆ドクタースパート 1986年4月29日生まれの鹿毛の牡馬。父ホスピタリテイ、母ドクターノーブル(父タケシバオー)。北海道新冠町・須崎光治氏の生産。通算成績18戦7勝(うち地方7戦4勝)。総収得賞金は1億7154万9000円(うち地方850万円)。主な勝ち鞍は皐月賞・G1(89年)、京成杯3歳S・G2(88年)、ステイヤーズS・G3(90年)。引退後は種牡馬入りし、00年に種牡馬を引退。11年に老衰のため25歳で死んだ。

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