12年大波乱の天皇賞・春を制したビートブラック、今は誘導馬として新装京都競馬場の大歓声を待つ

19年の天皇賞・春では見事に出走馬をリード
19年の天皇賞・春では見事に出走馬をリード
誘導馬として元気に暮らすビートブラック
誘導馬として元気に暮らすビートブラック

 天皇賞・春でレース史上最大級の波乱を演出したのはビートブラック(牡)。2012年、14番人気での激走だった。15歳となった現在は京都競馬場で誘導馬として活動。同競馬場は現在、来春の新装開業を目指し改修工事中だが、ファンに再びその雄姿を見せる日を目指し、元気に訓練を重ねている。

 天皇賞・春での激走から約10年。ビートブラックは20年秋からの大規模な改修が続く京都競馬場の誘導馬として、G1馬特有の存在感を今なお放つ。馬体も若々しい。「15歳になりますが、非常に張り、つやのある馬体。少し我の強いところもあるけど、それもいい方に出ていると思います」と同競馬場業務課で乗馬普及係長の長沼秀一さん。競走馬時代の思い出の地で元気いっぱいの様子だ。

 誘導馬は競走馬がパドックから本馬場へ向かう時にエスコートする仕事。速く走ることを求められた現役時から一転、おとなしく歩かなければならない。「真逆ですよね。G1馬で鍛えられた馬だからこそ、ゆっくりと歩くことが難しい面はあると思います」と長沼さん。実際、ビートブラックも15年5月に誘導馬デビューをするまで、1年以上にもわたる訓練を受けた。

異例の“出張”感覚キープ 異例の“出張”もあった。改修中の京都は約1年8か月も開催がなく、この頃の主な仕事は社会人や地元高校、さらには子供たちの乗馬の相手が中心。そこで昨秋は阪神競馬場へ出向き、マイルCSの誘導馬として登場。感覚が鈍らないようにする訓練だった。「何でここにいるの、とか一部でざわざわしたようです(笑い)。継続的にやらないといけないことですし、今年の秋も考えています」と長沼さんは説明する。

5年連続天皇賞・春担当 京都競馬場の新装オープンは来年4月の予定。最初のG1は天皇賞・春だ。16~20年までは5年連続で天皇賞・春の誘導馬を務めてきた。「その時にファンであった方はたくさんいると思うので、極力分かりやすいところで誘導させたいなと思っています」と長沼さん。大歓声に包まれ、新たな歴史が始まる姿を今や遅しと待っている。(山本 武志)

 ◆ビートブラック 父ミスキャスト、母アラームコール(父ブライアンズタイム)。栗東・中村均厩舎に所属し、2009年10月に初出走。3歳時にはG1初挑戦の菊花賞で3着と健闘した。4歳時はオープン特別の1勝に終わったが、5歳で天皇賞・春を制した。通算34戦6勝。14年4月の引退直後に、京都競馬場で乗馬となり、翌15年に誘導馬デビューを果たした。

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