【エリザベス女王杯】発祥の国イギリス模範にファン獲得 格調の高さ広くアピール

英王室所有のロイヤルアスコット競馬場には気品ある雰囲気が漂う
英王室所有のロイヤルアスコット競馬場には気品ある雰囲気が漂う

◆第47回エリザベス女王杯・G1(11月13日、阪神・芝2200メートル)

 英国は日本競馬の発展に重要な役割を果たしてきた。昭和初期に帝国競馬協会で活躍し、「近代競馬の創設者」と言われた佐藤繁信(のち日本中央競馬会理事)が3年間、欧州に留学。ニューマーケットルール(英国競馬施行規程)を学んで日本に持ち帰り、これが現在の「日本中央競馬会競馬施行規程」の基礎になった。日本競馬が英国を模範とすると言われるゆえんだ。

 日本中央競馬会(以下、中央競馬会)は1986年、イメージアップ活動推進委員会を設置し、「人と馬の、300年ロマン」とのキャッチフレーズでテレビCMなどのキャンペーンを展開した。右肩上がりだった売り上げ、入場人員に若干の陰りが見え始めており、新規ファンの開拓が至上命題だったのだ。「競馬発祥の国イギリスを舞台に、競馬の揺るぎない伝統と文化を中心に、サラブレッドの世界をシリーズで紹介した」。中央競馬会50年史によると、競馬の格調の高さを広く伝える狙いがあったという。

 戦略はズバリと的中した。ジャパンC創設に尽力した元JRA副理事長の北原義孝さんは「優雅な雰囲気に憧れました。競馬場も上って、下って、自然に溶け込んだコースで本当におもしろい」と語る。CMから飛び込んでくる華やかな競馬場、ニューマーケットの調教風景は多くのファンに、競馬の清新さを伝えた。

 エリザベス女王は、そんな英国競馬の象徴。1975年5月の来日時について、中央競馬会は会内報の「たてがみ」に「女王ご自身の競馬場へのおいでを望んだのであるが、日程上の都合で実現不可能ということで、駐日英国大使から特別にメッセージをいただいて記念競走を施行した」と記している。5月10日、京都9Rでエリザベス女王御来日記念競走(11頭立て)が施行された。これが、間もなく半世紀となる“女の戦い”の始まりだった。(編集委員・吉田 哲也)

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