先週の当コラムでも触れたが、3日の門別5Rで新種牡馬の産駒によるフレッシュチャレンジが行われた。キタサンミカヅキ産駒のキタサンヒコボシ(牡2歳)が好スタートから先手を奪い、直線でも後続を突き放して6馬身差の圧勝を演じた。五十嵐冬樹調教師にとっても、初の新馬勝ちとなった。
「内が深く感じる馬場だったのを意識し、スタートが速かったので、外にいた馬たちが迫ってくる前に外へ持ち出して逃げる形が取れました。調教で騎乗した時は、短距離向きの走法に感じていましたが、返し馬が伸びやかなフットワークを見せていたので、コースに出た時の印象がガラリと変わりました。血統的には短距離向きかもしれませんが、この走法なら距離が延びた方が良いと思います」。騎乗した岩橋勇二騎手はレース後に話していた。
キタサンミカヅキは18年東京盃でJRA重賞2勝のネロらを退けて連覇を成し遂げ、京都で行われたJBCスプリントは3着に健闘。同年のNAR年度代表馬に輝き、20年から種牡馬生活を送っている。キタサンミカヅキ産駒はキタサンヒコボシのほかにコンジュラー(牝2歳、北海道・田中淳厩舎)とビッグプレー(牡2歳、同)がすでに能力検査に合格。コンジュラーもキタサンヒコボシ同様、スタートセンスは高い。能検ではコーナーで外に膨れるロスがあったが、内走路で行われた影響もあっただけに、実戦でガラリと変わる可能性は高い。
また、辻牧場生産のトーコーユズキの21(牡2歳)は、兄にJRA中距離で勝ち上がっているパトリックハンサム(牡4歳、美浦・菊沢厩舎)やサトノクローク(牡3歳、栗東・橋口厩舎)、17年HBAトレーニングセールで最高価格となる5100万円で取引され、JRAで2勝したクレヴァーパッチなどがいる。
キタサンミカヅキの初年度産駒は12頭、2世代目は8頭が血統登録されている。昨年は8頭と交配され、産駒頭数には恵まれていないものの、今年の新種牡馬で最初に勝ち上がり、NAR年度代表馬の底力を見せた。父キングヘイローは、キタサンミカヅキ同様に優駿スタリオンステーションでけい養された。キングヘイローの後継種牡馬は他にローレルゲレイロしかおらず、その血を継承していく上で産駒最初の勝利は大きなニュースとなった。(競馬ライター)