◆第8回紫苑S・G2(9月9日、中山・芝2000メートル)
今年からG2に昇格した第8回紫苑S(9日、中山)は、牝馬3冠最終戦の秋華賞(10月15日、京都)へ向けた最重要トライアル(3着まで優先出走権)だ。忘れな草賞勝ち馬のグランベルナデットなど、春の牝馬2冠馬リバティアイランドと未対戦の素質馬が打倒女王へ名乗りを上げる。
春の忘れ物を取り返しに、素質馬が万全の態勢でトライアルに挑む。グランベルナデットは4月の忘れな草賞を2番手から抜け出す正攻法で勝利。オークスでの活躍にも期待がかかったが腸炎で無念の回避となった。始動戦を制して、秋華賞直行の女王リバティアイランドとの初対決へ弾みをつけたい。大竹調教師は「春は(G1に)出られなかったし、いい競馬をして本番へ向かいたい」とラスト1冠を見据えて意気込んでいる。
腸炎は蹄葉炎につながりかねない危険な疾患だが、幸いにも軽度だった。トレーナーは「発見が早くて大事に至らず済んだ。血液検査の結果が落ち着いてから放牧へ出しました」と説明。放牧先の宮城県・山元トレーニングセンターで英気を養ったのち、8月11日に帰厩した。その後は順調そのもので、1週前追い切りの31日には美浦・Wコースでラスト1ハロン11秒2の好タイムを記録(6ハロン82秒7)。先週計測の馬体重は513キロと前走比15キロ増だが、緩さが取れた馬体からは確かな成長ぶりがうかがえる。
今回の舞台は未勝利を勝った中山2000メートル。岩藤助手が「右回りの方がまっすぐ走るし、ロスが少ない。コースは一番合いそう」と話すように、右回りのこの距離では2戦2勝。課題のゲート難も熱心に練習を積み克服しつつある。
紫苑Sは過去10年で4頭の秋華賞勝ち馬を出している重要なステップレース。同助手が「ここで結果を出せないとその先に行ってもしかたないですから」と力を込めるように、2冠牝馬を倒すためには前哨戦で負けるわけにはいかない。下総国で勝ち名乗りを上げ、秋の淀に上洛を果たす。(角田 晨)