【香港スプリント血統分析】デインヒル系種牡馬の産駒が強い

キャンター調整されたマッドクール(カメラ・高橋 由二)
キャンター調整されたマッドクール(カメラ・高橋 由二)

 小欄ではG1香港スプリントについて血統面から攻めてみたい。血統的な傾向としてはデインヒル系種牡馬の産駒が強いレース。2020年と2021年は馬券圏外だったが、昨年は1着ウェリントン、2着サイトサクセスと同系種牡馬の産駒によるワンツー決着となった。筆者は波に全く乗れていないし、あと講釈ばかりで恥ずかしいが、まずはウェリントンの血統に触れたい。

 父はデインヒル系オールトゥーハード。現役時は豪G1コーフィールドギニーなどG1・4勝を挙げ、種牡馬としても成功している。25戦全勝、英G1ダイヤモンドジュビリーSを含むG1・15勝の女王ブラックキャヴィア(父ベルエスプリ)の半弟でもある。

AllTooHard
鹿毛2009
ダンチヒ系
CasinoPrince
鹿毛 2003
FlyingSpur
LadyCapel
Helsinge
鹿毛2001
DesertSun
Scandinavia
Mihiri
鹿毛2010
ヘイロー系
MoreThanReady
青鹿毛1997
SouthernHalo
WoodmansGirl
Danoise
鹿毛2004
デインヒル
SoloDeLune

ウェリントン血統表

 ウェリントンの祖母ダンワーズの父がデインヒルだから、オールトゥーハードの父の父の父を介して、デインヒルの4×3インブリードが成立する。2019年の覇者ビートザクロックがデインヒルの3×3インブリードを内包していたように、当レースに強い血脈を押し出すことが有効に働いているようだ。

 ちなみに昨年2着のサイトサクセスは父がデインヒル系マグナス。父の1歳上の姉ヘルシンゲが前記オールトゥーハードとブラックキャヴィアの母だから、世間は狭い。いや、父馬の母系も大事だなと思う。

 ハイフィールドプリンセスは、父がG1英2000ギニー馬ナイトオブサンダー。父系祖父ドバウィは馬場不問で、その産駒に2011年の当レース優勝馬ラッキーナインや2013年のG1香港カップを制したアキードモフィードがいる。母ピュアイリュージョンの父は重要血脈デインヒルと、シャティンの芝にも順応しそうだ。

ナイトオブサンダー
栗毛2011
ミスタープロスペクター系
ドバウィ
鹿毛2002
ドバイプレミアム
Zomaradah
ForestStorm
栗毛2006
ガリレオ
QuietStorm
PureIllusion
鹿毛2003
ダンチヒ系
デインヒル
鹿毛1986
Danzig
Razyana
SaintlySpeech
黒鹿毛1997
SouthernHalo
EloquentMinister

ハイフィールドプリンセス血統表

 マッドクールは、父が英G1ミドルパークS勝ちのダークエンジェル。種牡馬としても大成し、2013年のリーサルフォース、2017年のハリーエンジェル、2020年のバターシュと欧州最優秀スプリンターを3頭も出している。また、父系祖父アクラメイションは香港カップの有力候補ロマンチックウォリアーの父でもある。

DarkAngel
芦毛2005
ノーザンダンサー系
Acclamation
鹿毛1999
RoyalApplause
PrincessAthena
MidnightAngel
芦毛1994
Machiavellian
NightAtSea
MadAboutYou
鹿毛2005
クラリオン系
IndianRidge
栗毛1985
Ahonoora
Hillbrow
IrresistibleJewel
鹿毛1999
デインヒル
InAnticipation

マッドクール血統表

 マッドクールの母マッドアバウトユーはG1愛1000ギニーの2着馬。祖母イリジスティンブルジュエルの父にはデインヒルを配している。香港スプリントでも期待の持てる血統構成と言える。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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