【こちら日高支局です・古谷剛彦】ダート3冠前哨戦のブルーバードC カプセルは馬具効果で反応良化

23年のブリーダーズゴールドジュニアカップを制したブラックバトラー(手前)と2着のカプセル
23年のブリーダーズゴールドジュニアカップを制したブラックバトラー(手前)と2着のカプセル

 24年の競馬界は、ダートのレース体系が大きく変わる。古馬短距離は、6月19日に浦和競馬場で行われるさきたま杯が交流G1に昇格し、春の短距離王決定戦となる。古馬中距離は、川崎記念(交流G1)が4月3日に移行し、6月26日に行われる帝王賞(交流G1)との間隔が近くなる。芝中距離で、大阪杯から宝塚記念を目指すローテーションと似た形になった。

 そして、3歳戦はダート3冠が交流G1となり、それに向けて1月から前哨戦となる交流重賞も設定された。17日に船橋競馬場で行われるブルーバードカップ(交流G3)は、今年からダートグレードに昇格。中央馬が3頭、他地区は北海道2頭と佐賀1頭、そして船橋3頭で覇を競う。2歳戦が地方最高峰としてブランド化されたホッカイドウ競馬は、南関東で行われた地方交流の2歳重賞で、鎌倉記念(サントノーレ)と平和賞(カプセル)を優勝した。サントノーレ(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)はその後、全日本2歳優駿(交流G1)で地方最最先着の3着に健闘した。そのサントノーレが出走した、昨年8月に行われたブリーダーズゴールドジュニアカップで優勝したブラックバトラー(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)と、2着に逃げ粘ったカプセル(牡3歳、北海道・田中淳厩舎)が海を渡って初代王者に挑む。

 カプセルは、平和賞で船橋コースと長距離輸送を経験している。「最近はズブさが見られるので、1週前の追い切りからチークピーシーズを着用しています。その効果もあり、追われてからの反応も良くなっています」と田中淳師。ブラックバトラーは、JBC2歳優駿(交流G3)で致命的な出遅れをしながら3着に追い込んだ。田中淳師は「冬場なのでコースを思うように使うことができないので、中間は装鞍所に置いてあるゲートを使って練習をしました。出掛けはもともと早くはないタイプですが、前走のような膠(こう)着はないと思います」と、練習の成果を感じている様子。攻め駆けしないタイプで、2週続けて併せ馬で遅れたが、「単走だともっと動かない馬なので、併せて3ハロン37秒台を2週マークできた点は良かったと思います」と、田中淳師は状態の良さを強調していた。

 15日と16日は欠航が相次ぐほど道内は雪が降り続いている。真冬の北海道から本州へ移動し、レースに向かう点は明らかに条件は不利だ。しかし、不利な経験を繰り返してきたノウハウが、近年のホッカイドウ競馬勢の全国的な活躍につながっていることは確かだ。同じことは、佐賀から挑戦するウルトラノホシ(牡3歳、佐賀・真島元厩舎)にも言える。前走の全日本2歳優駿は、早めに川崎の小向トレセンに入厩して調整されたが、今回は佐賀で追い切って直前輸送で挑む。ウルトラノホシは、21年セレクションセールで1500万円(金額は税別)で取引された。佐賀に入厩するレベルでは破格の高額馬だが、補助馬購買による落札で、生え抜きのスター誕生の成果と言える。

 賞金の高い地域が本来、立地の良さから中央勢を迎え撃つ図式になるのが普通だと思うが、これまでの2歳と3歳の流れは完全に、地元以上に他地区から挑戦する関係者の意識が明らかに高い。2月14日の雲取賞(交流G3)は、無敗でハイセイコー記念を圧勝したダテノショウグン(牡3歳、大井・森下淳厩舎)が出走を予定しており、3冠の舞台となる大井生え抜きの意地を見せてくれるものと期待をしている。(競馬ライター)

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