◆第48回高松宮記念・G1(3月25日、中京競馬場・芝1200メートル、良)
春の短距離王決定戦、第48回高松宮記念・G1は25日、中京競馬場で行われ、2番人気のファインニードル(川田)が外から差し切り、G1初制覇。高橋義忠調教師(48)=栗東=は開業8年目で初のG1タイトルを手にした。鼻差に泣いたレッツゴードンキは昨年からJRA・スプリントG1で3連続2着。3着に10番人気のナックビーナスが入った。断然人気のレッドファルクスは8着に敗れた。
大混戦の直線、中団外に出したファインニードルが川田の右ムチに力強く加速を始めた。一発、二発とふるうごとに前との差を一完歩ずつ詰める。最後の最後、ゴール前で測ったようにレッツゴードンキを鼻差差し切ってゴール。早春の日差しに映えるゴドルフィン・ブルーが、ひときわ輝いた。
「直線が長いので急ぎすぎないよう追い出しました。最後は(2着馬と内外で)離れていて分からなかったけど、何とか届いてくれと。ホッとしています。前回がいい内容で肉体的にも精神的にもすごく成長を感じたので、強気に勝ちにいく競馬をしようと思っていました」。昨秋のスプリンターズS12着から、半年足らずでG1初制覇。わずか0秒2の間に5頭がひしめく接戦を制した鞍上は、ふっと息をついた。
日本競馬に大きな一歩を記した。ドバイのモハメド殿下の所有馬で、3月17日付で「H.H.シェイク・モハメド」から「ゴドルフィン」に名義変更。勝負服も以前の海老茶から、なじみの青基調に替えた。同殿下が国際的に使用する名義、勝負服で初参戦した日本のG1を勝利。「変更後の最初のG1を勝ててうれしいです」と川田は改めて喜びをかみしめた。
高橋忠調教師にとっても、開業8年目でのうれしいG1初勝利。「どこかでトップでもやれると思っていたけど、ここまで早くとは思っていなかった」と5歳馬の成長力に舌を巻いた。
今後は未定だが、登録している香港・チェアマンズスプリントプライズ(4月29日、シャティン競馬場)や、トレーナーが日本の競馬界に入る前に自主研修で経験を積んだ縁もある英国のジュライC(7月14日、ニューマーケット競馬場)など海外遠征も視野に入れる。「今年が真価を問われる年だと思っていたし、まだ成長してくれると思う。楽しみです」と高橋忠師。短距離界に誕生した新王者の動向に注目が集まる。(宮崎 尚行)
◆ファインニードル 父アドマイヤムーン、母ニードルクラフト(父マークオブエスティーム)。栗東・高橋義忠厩舎所属の牡5歳。北海道日高町・ダーレー・ジャパン・ファーム有限会社の生産。通算24戦8勝。総収得賞金は3億485万2000円。主な勝ち鞍はセントウルS・G2(17年)、シルクロードS・G3(18年)。馬主はゴドルフィン。
<モハメド殿下へ「いい報告」>
○…馬主のゴドルフィンにとっては「青、袖水色一本輪」の勝負服で日本のG1初勝利となった。ダーレー・ジャパン・ファーム(有)のハリー・スウィーニー代表(57)は「明日(26日)、ドバイに行く予定だったので、いいタイミングで勝てました」と満面の笑み。「(モハメド)殿下は日本の競馬が大好きで、今日もライブ中継を見ていたはず。いい報告ができます」と声を弾ませた。