【2024年レース回顧】荒々しさの中に垣間見たポテンシャル 頂点に立った名手のひと言に胸が熱くなった

日本ダービーを制しダノンデサイルからフライングディスマウントを披露する横山典弘騎手。 (カメラ・高橋 由二)
日本ダービーを制しダノンデサイルからフライングディスマウントを披露する横山典弘騎手。 (カメラ・高橋 由二)

◆日本ダービー・G1(5月26日、東京・芝2400メートル、17頭立て※1頭が競走除外=良)

 日本ダービー当日の記者コラムでも書かせてもらったが、ダノンデサイルには相当なポテンシャルを感じていた。荒々しさのなかに秘める底知れない爆発力。それを垣間見たのは4着に敗れた昨年の京都2歳Sだった。

 序盤からかなり行きたがり、他馬が横を通過するとファイトする。3戦目の若駒だけに大敗も致し方ないところだが、最後の直線では雄大にストライドを伸ばし、勝ったシンエンペラーまで0秒1差まで迫った。横山典騎手がもたれるところを懸命に矯正し、最後の直線でまともに追えたのは残り100メートルだけ。次戦で本命を打つことを心に決めた。

 年明けの京成杯。その期待に応えてレースは大外から豪快に突き抜けて見せた。思えば2着も菊花賞馬アーバンシック。当時から陣営の評価も高かっただけに、レベルが高かったといえる一戦だろう。

 皐月賞は△の評価。18頭立ての16番枠と外、外を回らされる厳しい戦いを強いられることが予想され、後方で脚をためる策に出ても差し切るまでには至らないという判断だった。直前に横山典騎手が右前脚の異変に気づき、競走除外に。勇気ある決断が、その後の最高の瞬間を生んだといえる。

 迎えたダービー。仕上がりの良さもさることながら枠の並びが最高だった。ダノンデサイルが入った5番枠より内に先行したい馬はおらず、楽にラチ沿いが取れる絶好の並び。迷うことなく本命を託した。レースは思い描いた通りの鞍上のリードに道中は息が詰まる思い。最後の直線で抜け出した時には、頭が真っ白で何を叫んだのか覚えていない。2馬身差をつける会心の勝利。レース後の横山典騎手の「馬はちゃんと大事にしていれば応えてくれる。馬に感謝です」というコメントには胸が熱くなった。自分の中で一頭の馬を信じ抜けたことに、納得している。(中央競馬担当・石行 佑介)

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