【凱旋門賞】小島太元調教師「今の日本馬は最高に強い」タイトルホルダーの栗田徹調教師にエール

タイトルホルダーの栗田調教師(右)とがっちり握手を交わし、エールを送った小島太さん
タイトルホルダーの栗田調教師(右)とがっちり握手を交わし、エールを送った小島太さん

◆第101回凱旋門賞・仏G1(10月2日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)

 延べ29頭の日本調教馬が敗れてきた世界最高峰の第101回凱旋門賞・仏G1が10月2日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートルで行われる。最多4頭が参戦する今年の日本勢の大将格が、G1・3勝のタイトルホルダーだ。02年にマンハッタンカフェで挑んだスポーツ報知評論家の小島太元調教師(75)が、同馬を管理する栗田徹調教師(44)=美浦=と対談。自身の経験をもとにアドバイスを送った。

 小島太氏(以下、太)「宝塚記念が終わった後は順調だったんですか?」

 栗田調教師(以下、栗)「レコード勝ちというのもあって歩様のチェックなどをしてから放牧に出したのですが、本当に順調に進められました」

 太「マンハッタンカフェは天皇賞・春(02年1着)のあと、脚元に不安があってね…。万全だったら負ける気なんてしなかったんだけどなあ(同年凱旋門賞13着)」

 栗「かっこいい馬でしたよね。黒くて柔らかい、すごくいい馬という印象が強いです」

 太「今年の天皇賞・春の前だったかな。タイトルホルダーを直接見せてもらったんだけど、『この馬、3000メートル(菊花賞)勝ったんだよな?』と厩舎スタッフに聞いたもん。まだビシッと完成された感じがしなかった」

 栗「その通りなんですよ。順調に成長してくれてはいますが、まだ頼りないところもあって」

 太「成長しきってから持っていくと、どこかがもたなくなっちゃう。まだ上がり目のある馬がいく方が面白いと思う。あと、向こうに行けばコンディションは絶対に良くなるから。向こうの調教場は日本の人工のトレセンとは全然違う。馬も感じるんですよ。うちのも別馬みたいだった」

 栗「経験した方はみんな同じようなことをおっしゃいますよね。水もいいし、環境もいいと」

 太「一度、調教が終わって乗って帰ろうと思ったら、元気が良すぎてウワーっとなっちゃって。青ざめた。ここでもし放馬したら、もうレースどころじゃなくなっちゃう。(敷地の)広さが別物だから。それくらい迫力が違ってきていたなあ」

 栗「視察して思ったのは調教が難しいということですね。日本みたいにハロンごとに時計が出るわけじゃないし、森のなかに時計があって、どこからでも馬が出てくるし。注意しながらやっていこうと思っています」

 太「マンハッタンカフェの時は日本で5頭目の挑戦。なかなか大変だったけど、それから出走頭数も増えたし、今の日本馬は最高に強いんだから」

 栗「こうやって凱旋門賞に挑戦できるのも、先代の方々が積み上げてきてくれた経験があるからこそ。昔の方は苦労されたんでしょうけど、今はベースができていて、そういう意味ではすごく心強いです」

 太「この成績だから当然だよと、周りからも後押しされて挑戦するというのはすごいことなんだよ。あと、当日の雰囲気も味わってきたほうがいい。華やかさが日本とは全然違うから。もちろん結果も大事だけど、楽しみながら馬を送り出してください」

 栗「太先生からアドバイスをいただけて、本当に参考になりました。フランスでもぶれることなく、日本と変わらない気持ちでやっていきたいと思っています。応援よろしくお願いします」

 ◆栗田 徹(くりた・とおる)1978年3月16日、千葉県生まれ。44歳。大学卒業後、02年にJRA競馬学校厩務員課程入学。03年4月に萩原清厩舎で厩務員、同年5月から栗田博憲厩舎で調教助手を務める。11年に調教師免許を取得し、美浦トレセンで開業。初出走は11年3月20日の阪神1R(ヒダカアルテミス=10着)で、初勝利は同年4月9日の小倉7R(ジュモー)。JRA通算226勝。重賞はタイトルホルダーのG13勝を含む7勝。

 ◆小島 太(こじま・ふとし)1947年4月11日、北海道生まれ。75歳。1966年に騎手デビュー。2度の日本ダービー制覇など通算1024勝。調教師としてはイーグルカフェ、マンハッタンカフェでG1を制し、通算476勝。騎手と調教師を合わせて通算1500勝を達成し、18年に引退した。騎手時代から海外挑戦に積極的で、調教師1年目の97年にはサクラローレルで凱旋門賞を目指した(前哨戦のフォワ賞で故障)。趣味は大相撲観戦。

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