【中山大障害】オジュウチョウサン帰厩した時は「別の馬だと思った」年齢重ねた誤算の夏

オジュウチョウサンは手加減なしの好調教
オジュウチョウサンは手加減なしの好調教

◆第145回中山大障害・JG1(12月24日、中山競馬場・障直芝4100メートル)

 オジュウチョウサンを担当する厩務員の長沼昭利は、思わず我が目を疑った。秋の始動戦だった東京ハイジャンプに向けて放牧先から帰厩した9月7日の様子を、「別の馬だと思った」と振り返る。いつもレース時の馬体重は510キロ前後で、それよりも余裕を持って帰ってくるはずが、504キロしかなかったのだ。

 それは年を重ねた“変化”に起因していた。以前は牧場で少しのカイバでも馬体重が増えて、休ませてトレーニングを軽くしても簡単に筋肉が落ちることはなかった。調教師の和田正一郎は「だからあまり食べさせてもと思っていたが、今年の夏は筋肉量も体重も減ってしまった。太っても増やした方がよかったのか、悩みながら難しかったです」と苦心を振り返る。

 その反省を生かして今回は526キロで帰厩して、筋肉も戻って立て直した手応えはつかめている。また代名詞と言える心肺機能も、もはや全盛期には及ばないため、調教では以前よりも距離を長く乗るようになった。主戦騎手の石神深一は「年齢のせいか、昔よりは心肺も落ちていると思うので、息づくりを大事にやっている」と、攻め馬のさじ加減で工夫をこらしてきた。

 一方で11歳を迎えても変わらないのは闘志だ。担当の長沼は「あいつの根性、負けず嫌いな性格は変わっていない。勝つとスカッとしているけど、負けた後はイライラして馬房に入るのが怖くて…」と、他の馬との違いに驚く。そして“チーム・オジュウ”の人間たちも、気持ちの面では負けていなかった。=敬称略=(坂本 達洋)

最新記事

さらに表示
ニュース検索
馬トク SNSアカウント
  • X (旧Twitter)
  • facebookページ
  • Instagram
  • LINE公式アカウント
  • Youtubeチャンネル