【2022年レース回顧】後の菊花賞馬、アスクビクターモアの成長力をみせつけられた一戦

ダービーで3着だったアスクビクターモア(右)
ダービーで3着だったアスクビクターモア(右)

◆日本ダービー・G1(5月28日、東京・芝2400メートル、18頭立て=良)

 今年のダービーで3着に敗れはしたが、アスクビクターモア(牡3歳、美浦・田村康仁厩舎、父ディープインパクト)に成長力を存分に見せてもらった。

 デビュー前の美浦Wコースの追い切りで、楽な手応えのまま直線でグングン加速していく姿に目を奪われた。すぐに田村調教師に話を伺うと「まだ体がしっかりしていなくて、高校生ぐらいかな。それであれだけ動けてしまうんだから、嫉妬するぐらいの能力だよね」の言葉からクラシックに乗れると確信した。

 その期待を裏切ることなく、報知杯弥生賞ではドウデュースを抑え重賞初制覇。だが東京で走った新馬戦とアイビーSは1番人気に応えられず3着。ディープインパクト産駒でも持続力に優れているタイプで、陣営はその特性を最も生かしやすい皐月賞を最大目標に掲げ、多くの厩舎がダービーへのステップと位置づけるなか、めいっぱいの仕上げで臨んだ。それだけに5着という結果に記者も悔しさがこみ上げた。

 ダービーは良績のない東京コース。巻き返しは厳しいかと思ったが、ビクターモアは中間の追い切りで、以前より力みが消え、ストライドも大きくなり、皐月賞からさらに進化しているのを感じた。レースではそれを裏付けるように2番手でしっかり折り合い、直線では抜群の手応えのまま先頭に。最後はドウデュースとイクイノックスにかわされはしたが、1、2着馬が4角の位置取りが14番手で差し決着の流れを2番手から3着に踏ん張ったのだから、正に負けて強し。しかも東京コースで成し遂げたのだから、改めて成長力も実感できた。

 ダービーの翌週、田村調教師が「ほぼ思い描いた通りのレースはできたし、この馬もレコードで走ってくれているように力は出しきった。それで負けたんだから仕方ない。でも秋はもっと良くなるよ」と語った言葉を菊花賞でしっかり証明してくれたビクターモア。今年もさらなる進化を遂げ、大舞台で活躍する姿を応援したい。(松井 中央)

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