【高松宮記念】単勝12番人気の伏兵、ファストフォースがG1初制覇 団野大成騎手も!西村真幸調教師も!

泥だらけになりながら高松宮記念を制した団野とファストフォース(右から2頭目、カメラ・池内 雅彦)
泥だらけになりながら高松宮記念を制した団野とファストフォース(右から2頭目、カメラ・池内 雅彦)
高松宮記念を制し、ファストフォースの馬上で声援に応える団野
高松宮記念を制し、ファストフォースの馬上で声援に応える団野

◆第53回高松宮記念・G1(3月26日、中京・芝1200メートル、不良)

 春G1開幕戦、第53回高松宮記念は26日、中京競馬場で行われ、7歳馬ファストフォースが直線差し切って初のG1勝利。有力馬が不良馬場に苦しむなか、単勝12番人気の伏兵が大仕事を成し遂げた。団野大成騎手(22)=栗東・斉藤崇厩舎=、管理する西村真幸調教師(47)=栗東=も初タイトル。花開いた遅咲きのスプリンターは今後、4月末の香港参戦も視野に入れて調整を進めていく。

 直線で追い出すと、ファストフォースは不良馬場をものともせずにぐいぐい伸びた。並んできたナムラクレアを振り切り、ゴール板を駆け抜けると団野は左手を大きく振り上げた。レース後には西村調教師とグータッチ。「(馬は)しっかりと応えて、力強いレースをしてくれました」。人馬とも待望のG1初制覇の瞬間だった。

 泥だらけの勝負服が、雨中の激戦を何よりも物語っていた。容赦なく降り続く雨の中、馬場状態は刻々と変化。「外枠を引けたので、馬場のいいところを」と思い描きながらスタートすると「思った以上に進みがよくて、どこかでひと息入れたいと思っていたら、4コーナーまでうまくその形になって、スムーズにいった」。戦前のプラン通りに勝利への道が開けた。

 緩急自在の強さを持っていた。地方から出戻りの経験もある7歳馬は、父ロードカナロア(13年)と父子制覇を達成。21年CBC賞では1分6秒0でレコード勝ちしたが、この日は一転1分11秒5と8Rの1勝クラスと0秒8しか変わらないタイムで勝利。G1の舞台で“二刀流”ぶりを見せた愛馬に、西村師も「脚元が弱く坂路でしか調教できないが、7歳になりびっしりやれるようになった。今日は520キロを切っていたので、チャンスはあると思っていた」と会心の笑顔だ。

 直線でアグリと接触する場面があった鞍上は、レース後の会見で「ガッツポーズはしてはいけなかった」と反省しきり。同期で初のJRA・G1勝ちで、昨秋から4人目となる20代でのG1ジョッキー誕生の波にも乗った。今後について安原浩司オーナー(63)は「様子を見て春の香港も考えています」と、チェアマンズスプリントプライズ・G1(4月30日、シャティン)を見据えた。22歳の若武者と、頼れるベテランスプリンターのコンビが、短距離界の頂点に立った。(山下 優)

 ◆ファストフォース 父ロードカナロア、母ラッシュライフ(父サクラバクシンオー)。栗東・西村真幸厩舎所属の牡7歳。北海道浦河町・三嶋牧場の生産。通算29戦7勝(うち地方4戦3勝)。総獲得賞金は3億1384万7000円(うち地方212万円)。重賞2勝目。主な勝ち鞍は21年CBC賞・G3。馬主は安原浩司氏。

 ◆団野 大成(だんの・たいせい)2000年6月22日、滋賀県生まれ。22歳。父の勝さんが所属する斉藤崇厩舎から19年3月に騎手デビュー。21年の日経新春杯(ショウリュウイクゾ)で重賞初制覇を挙げる。JRA通算183勝。重賞はG1・1勝を含む4勝。

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