◆第28回秋華賞・G1(10月15日、京都・芝2000メートル)
次元の違う瞬発力を見せつけた。マスクトディーヴァはローズSで7番人気ながら、直線で追い出されると瞬時に反応。大外から一気に突き抜けた。時計は1分43秒0。JRAレコードを0秒8も上回る衝撃の時計に、「どれだけ良くなっているかと楽しみでしたが、こちらが思っていた以上のパフォーマンスでした」と岩田望は笑顔を浮かべた。
苦労を乗り越え、充実期に入っている。岩田康の息子ということもあり、若手のホープとして期待されながらも、重賞初制覇だった昨年の京都牝馬Sは何と98度目の挑戦。しかし、今年はすでに重賞5勝を挙げ、8月には世界の名手が集まるWASJで総合優勝も果たした。「(今年は)技術的なこともですが、勝てなかったことで得られたものが生きてきた気がします。いい巡りになってきていると感じます」と冷静に分析する表情から自信が感じられる。
パートナーも確かな成長を遂げている。「ルーラーの牝馬らしく、ピリッとする馬でしたが、今は落ち着きが出て、オンオフが切り替えられるようになりました」と角居厩舎の助手時代に父ルーラーシップの調教に騎乗していた辻野調教師。リバティアイランドの壁は高いが、「折り合いに苦労しないし、操縦性がいい。エンジンがかかった時の脚がすごい」と岩田望の厚い信頼は揺らがない。勢いある人馬のコンビで、未対戦の女王に立ち向かう。(山下 優)