小欄ではG1香港カップについて血統面から狙いを立てたい。2019年1着、2020年2着ウインブライト(父ステイゴールド)、2021年1着ラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)、同2着ヒシイグアス(父ハーツクライ)、昨年2着ダノンザキッド(父ジャスタウェイ)と、サンデーサイレンス系種牡馬の産駒が4年連続で連対している。
プログノーシスは、父がディープインパクト。父の産駒は前記ラヴズオンリーユーのほかに、エイシンヒカリが2015年に勝利している。同じシャティン芝2000メートルのG1クイーンエリザベス2世Cにおいても、ラヴズオンリーユーが1着、本馬に加えてグローリーヴェイズとステファノスも2着と好成績を残している。
ディープインパクト 鹿毛2002 サンデーサイレンス系 | サンデーサイレンス 青鹿毛1986 | ヘイロー |
WishingWell | ||
ウインドインハーヘア 黒鹿毛1991 | Alzao | |
Burghclere | ||
ヴェルダ 栗毛2006 ミスタープロスペクター系 | Observatory 栗毛1997 | DistantView |
Stellaria | ||
Viavigoni 栗毛2001 | MarkOfEsteem | |
ValD'erica |
プログノーシスは母方の血統も優秀。半姉ヴォルダ(父オーペン)は英2歳G1チェヴァリーパークSの覇者で、曽祖母のヴァルデリカは1981年にイタリアで1000ギニーとオークスの牝馬2冠を制している。母の父にオブザーヴァトリを持つのは、2021年の欧州2歳牡馬チャンピオンに輝いたネイティヴトレイルと同じだ。
ヒシイグアスは、父がハーツクライ。同じ父を持つヌーヴォレコルトが2015年2着と好走した。昨年の2着馬ダノンザキッドの父の父はハーツクライだから、シャティンの2000メートルとは相性の良い血脈と言えるだろう。
ハーツクライ 鹿毛2001 サンデーサイレンス系 | サンデーサイレンス 青鹿毛1986 | ヘイロー |
WishingWell | ||
アイリッシュダンス 鹿毛1990 | トニービン | |
ビユーパーダンス | ||
ラリズ 黒鹿毛2004 ストームキャット系 | Bernstein 鹿毛1997 | ストームキャット |
LaAffirmed | ||
LaMarlene 鹿毛1995 | RainbowCorner | |
LaCardinale |
フランスのオリゾンドレも父がサンデーサイレンス系ダビルシム。父は2011年に仏G1モルニ賞と仏G1ジャンリュックラガルデール賞を含む5戦全勝の成績を残し、同年の欧州2歳牡馬チャンピオンに選出された。
Dabirsim 鹿毛2009 サンデーサイレンス系 | ハットトリック 黒鹿毛2001 | サンデーサイレンス |
トリッキーコード | ||
Rumored 黒鹿毛1999 | ロイヤルアカデミーⅡ | |
BrightGeneration | ||
SweetAlabama 鹿毛2005 サドラーズウェルズ系 | Enrique 鹿毛1996 | Barathea |
Gwydion | ||
Hallen 鹿毛1997 | Midyan | |
Haumette |
父の父ハットトリックは日本調教馬で、2005年のG1香港マイルとG1マイルチャンピオンシップを制して同年のJRA最優秀短距離馬に選ばれた。
ハットトリックはアメリカで種牡馬入りし、産駒からダート7ハロンのG1フォアゴーS勝ち馬ウィンウィンウィンが登場。南米においてもG1ウイナーが続出し、最近もブラジルで2022/23年シーズンの首位種牡馬となった。ハットトリックはもちろん、その父サンデーサイレンスの偉大さも伝わってくる。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。