◆第66回アメリカジョッキークラブカップ・G2(1月26日、中山競馬場・芝2200メートル、良)
第66回アメリカJCC・G2は26日、中山競馬場で行われ、1番人気のダノンデサイル(戸崎)がゴール前で差し切り、重賞3勝目。昨年の日本ダービー馬が4歳初戦で完全復活を果たした。
もう、これ以上負けるわけにはいかなかった。4角5番手で直線を向いたダノンデサイルは、先頭を目がけてみるみる加速。ゴール前で先に抜け出したマテンロウレオとコスモキュランダをとらえ、昨年の日本ダービー以来の白星をもぎ取った。初コンビで勝利に導いた戸崎は「まだ子供っぽさを感じるところはありますが、そのなかでこのパフォーマンス。ダービー馬ですからね」と、秘める底力に敬意を表した。
昨秋は菊花賞6着の後、有馬記念に参戦。初めて逃げを打って3着に粘った。そこから中4週で年明け重賞への異例の参戦を決断。安田調教師は「もちろん勝つのは大前提で求められているなかで、中4週のレースで中間の調整方法や量も変えて、どういう雰囲気、反応をするのか確認するためのレースだった」と明かして、意識的に調教で攻めて臨んでいた。
レースは7番手でリズム良く運んだ。4角では外にバランスを崩す場面もあったが、そこから見せた力強い伸び脚は貫禄十分。「闘争心が“出過ぎ寄り”で、ちょっとはみ出ちゃったように見えましたが、ジョッキーが言うには『それくらいの方が組み立てやすい』と。取り組み(の効果)が若干出たのはホッとしました」と指揮官。肉体面が成長している一方、まだ精神面の幼さは課題というが、それだけ伸びしろがある証拠とも言える。
ダービー馬の勝利は26年ぶり4度目。99年のスペシャルウィークは始動戦できっかけをつかみ、天皇賞・春まで3連勝と古馬のトップまで飛躍した。意地をかけた挑戦で結果を出せたことは価値がある。今後について安田師は「レース後の体の反応やテンションを含めて見て」と話すにとどめたが、いくつもの大舞台が視界の先にあるのは間違いない。さらなる進化へ、王者が歩みを進めていく。(坂本 達洋)
ダノンデサイル 父エピファネイア、母トップデサイル(父コングラツ)。栗東・安田翔伍厩舎所属の牡4歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算8戦4勝。総獲得賞金は5億7577万4000円。主な勝ち鞍は24年京成杯・G3、日本ダービー・G1。馬主は(株)ダノックス。