安定捨てて豪挑戦 地方競馬の星・鴨宮祥行

鴨宮祥行騎手(右)と川上鉱介氏(ライジングサンシンジケート提供)
鴨宮祥行騎手(右)と川上鉱介氏(ライジングサンシンジケート提供)

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 地方競馬所属の騎手としては画期的な挑戦だ。兵庫県競馬に所属する鴨宮祥行(よしき)騎手(31)は年明け早々、さらなる高みを目指してオーストラリアへ。4か月の期間限定で、ビクトリア州を拠点にするヘンリー・ドワイヤー調教師の下、競馬を勉強している。

 記者が地方競馬担当となったのが2017年。勝ち星を順調に伸ばしている点や地方競馬NO1のイケメン騎手と呼ばれるようにルックスも抜群。今後伸びそうな若手騎手として自然に興味をひかれた。取材を重ねて数か月後に言われた一言が忘れられない。「コメント通りに騎乗しているでしょ?」。改めて騎乗ぶりを振り返るとまさにその通りに乗っていたし、22年9月に通算500勝を達成した時も「それ以上に負けた悔しさがある」と浮かれた様子はなかった。誰よりも競馬にまじめに向き合う姿を間近で見たことで刺激を受けた。

 同年代のJRA所属騎手が海外で活躍する姿や、兵庫所属のイグナイターが昨年、ドバイ遠征を敢行したことで世界を意識するようになった。日本で騎乗を続ければ安定した収入や地位を確保できる。それを捨ててまで厳しい挑戦を選択したのは、あくなき向上心から。「経験を積んで、もっと、うまくなりたい」と話す表情に迷いはなかった。

 11日にはメルボルン近郊のクランボーン競馬場で初騎乗。結果は9頭立ての9着だったが、早々にチャンスをもらったのは日々、競馬に臨む姿勢を評価されたからだろう。

 園田競馬場で残念な事故が起きてしまい、今の兵庫県競馬は沈滞ムードにあるが、それを打破する存在になると信じている。戻ってくる5月が待ち遠しい。(地方競馬担当・蔵田 成樹)

◆蔵田 成樹(くらた・まさき)1992年入社。過去には中央競馬、競輪、ボートレースと、関西地区で行われるレース競技をすべて担当。

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