昨年4月6日の阪神開催のレース中に落馬し、同10日に逝去した藤岡康太さんを追悼する植樹式が2月13日、阪神競馬場で行われた。日本騎手クラブ会長の武豊騎手、兄の佑介騎手、父の健一調教師、ほか12人の騎手ら多くの関係者が出席した。
佑介騎手は「再来週から阪神がリニューアル。たくさんのお客様に来ていただいて、石碑と桜の木を見て、康太のことを思い出して感じてほしいです」とファンに呼びかけ。「この11か月、早かったような遅かったような、複雑な感情はありますが、そのなかでもいいレースをして、お客様に楽しんでもらえる競馬をするのが騎手の本望。康太もその仕事を一生懸命していたので、その気持ちを引き継いで、同じ気持ちでやっていきたい」と弟をしのんだ。
健一調教師は「みんなの目に触れるところにこんな立派なものを作っていただいたことに、家族代表として感謝いたします。桃色が好きやったんでね。阪神競馬場には色んな思いがある。康太がここで逝っちゃったというのも」と吐露。「35年という短い人生でしたけど、すごく本人は充実した、楽しくやれたと思う。それだけは良かった、一つの救いではあります。まだまだ、残された家族にとっては落ち着かない部分もある。ゆっくり、ゆっくりではあるけど普通の生活には戻っていってる。康太のことは忘れることはないけど、皆さんにもちょっとでも思い出していただけたらありがたいです」と思いの丈を明かした。
植樹式は、競馬ファンに「騎手 藤岡康太」をいつまでも忘れないでもらいたいとの思いから、日本騎手クラブと阪神競馬場が実施。馬頭観音像の横に植えられたのは、藤岡康太さんが生前好きだった「桃色」の桜で、なかでも、大輪の濃紅色の花を咲かせる「ベニユタカ」が選定された。桜花賞・G1(4月13日)が行われる頃には開花する予定。