秋山真一郎調教師が5日付で開業 騎手時代に1059勝「また週末に興奮できるんだな」

秋山真一郎調教師
秋山真一郎調教師

 騎手として27年間でJRA通算1059勝。重賞は38勝(うちG1・2勝)で、18年には史上5人目(当時)のJRA全10場重賞制覇と、輝かしい実績を残して24年2月末に引退した秋山真一郎調教師=栗東=。1年間の技術調教師をへて、いよいよ3月5日に開業する。

 秋山師「楽しみです。今まで競馬に乗って毎週、週末になるとアドレナリンが出てました。この1年はなかったけど、また週末に興奮できるんだなと。外から自分の管理馬を見たことがないからどんな感覚なんだろうと、そっちの楽しみですね。ジョッキーの時みたいに興奮できるのか、自分すごい冷めてるなとか。出走してみないと分かりません」

 引退後は、騎手時代の同期でもある栗東・武幸四郎厩舎で研修し、馬を見る目を養うことに主眼を置いて動き回ってきた。

 秋山師「(武幸師は)馬をメチャメチャ見てますね。普段の調教もそうだし、セリの下見で牧場とか色々連れて行ってもらいましたが、細かいところまですごく見てます。それをワーッと発信しないのがかっこいいですよね(笑)。目からウロコでした。やっぱり一緒に行動しないと分からないことがあります」

 ブリーズアップ、札幌競馬場のトレーニングセール、セレクト、セレクション、サマー、セプテンバー、オータムと国内の主要なセールはすべて行った。

 秋山師「誘ってくれるオーナーがいましたからね。騎手時代は競馬場とトレセンの行き来で、生産者を知りませんでした。日高も浦河も調教師になって初めて行きましたが、レベルが高いし、みんなすごく情熱があります。僕が競馬で乗って勝った馬が昔そこにいたら、覚えていて色々聞いてきてくれました」

 97年に栗東・野村彰彦厩舎から騎手デビュー。21年に天国に旅立った師匠から学んだことももちろん、血となり肉となっている。騎手時代、07年のオークス2着(ベッラレイア)が最高着順で、日本ダービーに騎乗したのは12年の一度だけ(ジャスタウェイで11着)。クラシックには縁がなかった。意外だが、有馬記念に騎乗したこともない。それを調教師でという思いは大きいが、まずは足場を固めるつもりだ。

 秋山師「野村厩舎時代のオーナーが当時のことを覚えてくれていて、(預託の)声を掛けてくれてうれしかったです。騎手の時に見られなかった景色を見たいというのはもちろんメチャクチャあります。クラシックとか、古馬のビッグレースとか。あるんですが、まず一歩一歩行きたいですね。基本的なことをやります。調教も馬の扱いもそう。『ウチの厩舎はこれやってます』みたいな売りがあることも大事ですが、いきなりカラーを出すつもりはありません。目標はもちろんたくさん勝つこと。いつか海外も行きたいですね」

【取材後記】

よく取材させてもらったが「(感情を)内に秘める系」という印象で、厩舎カラーが黒というのもしっくり来る。虎視たんたんと大仕事をするつもりだろう。今回の取材後、「あそこは、やっぱり○○の方がいいかな」などとわざわざ翌日に電話をくれたように、義理堅い人間でもある。

 騎手時代には「秋山会」が存在した。昨年2月に引退した川島元騎手や、美浦は黛騎手を筆頭に、後輩が「総長」と親しみやイジりを込めて慕っていたし、バーベキューをしたりと秋山師もかわいがった。トレセンで秋山師と話していると、後輩ジョッキーが「僕も(調教を)手伝いますからね!」と歩み寄るシーンに何度か遭遇した。

 自身が初G1を決めた鈴木隆司オーナー(カレンブラックヒル)の馬が入ったり、父が元騎手で栗東育ちのため、スタッフも同級生や昔からの顔なじみが多く、風通しがいい厩舎になりそう。どんな人間ドラマが待っているのか楽しみだ。(玉木 宏征)

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