
◆第62回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(3月9日、中山・芝2000メートル)
報知杯のG2、2レースが今年から同一週に開催される。現3歳世代で勝利数トップの杉山晴紀調教師(43)=栗東=は、皐月賞トライアルの第62回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(9日、中山)にナグルファル、桜花賞トライアルの第59回報知杯フィリーズレビュー(8日、阪神)にトワイライトシティをエントリー。ヤマタケ(山本武志)記者が好調トレーナーを「見た」。
狙った獲物は逃さない。デビュー2連勝中のナグルファルを送り出す杉山晴厩舎の現3歳世代は厩舎別でトップの19勝。これだけでもすごいが、重賞に限れば6戦5連対と驚異的な安定感を誇る。
杉山晴師に好調の要因を聞いてみた。「いい馬をやらせてもらっていますから」と前置きしたうえで、「入厩時期やゲート、競馬はこのくらいかなという成長に合わせた見立てが今年はうまくいったかな」と続けた。
この言葉にデアリングタクトで無敗の牝馬3冠を達成した20年を思い出した。偉業のかかる秋華賞はオークスから中146日での実戦。当時はまだ珍しかったが、「直行の方がいいパフォーマンスを出せる」と言い切った。その後、綿密な観察眼に経験値が加わり、23年に全国リーディングを獲得。進化を続けている。
今年の牡馬はサトノシャイニング、ジョバンニが皐月賞(4月20日、中山)出走にほぼ“当確”。ナグルファルは昨年末のエリカ賞を4馬身差で圧勝も、ここまで間隔を空けたために“勝負駆け”だ。「その気(激しさ)のあるエピファネイア産駒。崩れ始めるとよろしくないので、そのバランスだけはうまくやっていかないといけない」と説明する。サトノも「怖がりな部分が結構あるので」と同じく成長を促し、一方でジョバンニは「優等生。早熟かなという面はあったので、2歳のうちに」と早い時期から積極的に起用。各馬と向き合い、最良の答えを導いた。
ナグルファルは「難しい馬ですよ。ポテンシャルはあるんでしょうけど、まだそれで動き過ぎるが余り、疲れが出やすいところはある」と冷静に分析。ただ、強敵がそろったG2に照準を定めたのは能力を買っているからこそではないか。皐月賞を狙う三本目の矢になれるのか注目したい。(山本 武志)
【FRはトワイライト「よさげですね」】 ○…杉山晴厩舎は報知杯FRにもトワイライトシティを送り出す。馬場の内から抜け出したデビューV以来、2か月ぶりの実戦。1週前には栗東・坂路で53秒6―12秒1を出し、杉山晴調教師は「よさげですね」と満足そうにうなずいた。初戦の2~4着馬は次戦で《1》〈2〉《1》着と好走。「初戦は時計が遅くて、恵まれた感もあったのですが、時計に見えないメンバーレベルの高さがあったんですかね」と期待した。
◆杉山晴厩舎の3歳世代 牡馬路線では2歳重賞で2着2回などで賞金を積み重ねたジョバンニが、若葉S(22日、阪神)から始動。きさらぎ賞勝ちのサトノシャイニングとともに皐月賞を目指す。牝馬路線ではフェアリーSで無傷の2連勝となったエリカエクスプレスが桜花賞(4月13日、阪神)へ直行。ダート路線ではグランドプラージュが無傷の2連勝中だが、故障で戦線を離脱した。