
◆報知杯弥生賞ディープインパクト記念追い切り(3月5日、美浦トレセン)
3重賞の追い切りが5日、東西トレセンで行われた。皐月賞トライアルの第62回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(9日、中山)は、2戦2勝のヴィンセンシオが美浦・坂路で鋭い伸び。今までになかったメリハリの利いた走りを坂本達洋記者が「見た」。
意欲的な攻めの調教にイメージを覆された。無傷2連勝中のヴィンセンシオは、美浦・坂路での最終追い切りで3頭併せの最後方からスタート。ぴったりと間隔を詰めた隊列で折り合い、最後は一杯に追って外サフランヒーロー(4歳2勝クラス)と併入に持ち込んだ。てっきり微調整程度と勝手に思い込んでいただけに、心身の成長と体調の良さを感じた。
あえて坂路を選択した理由について森一調教師は「やや不足分があればWコースも視野に入れていましたが、先週までに十分できていますので。最後まで気を抜かせないように強めにという指示で予定通りです」と、満足そうに明かした。前日からの降雨で馬場が悪いなか、加速ラップで53秒2―12秒2をマークしたのは脚力の証し。きっちりとギアを上げて反応できたのも目を引いた。
まだキャリア2戦だが、昨夏のデビューから順調な成長曲線を描けている。指揮官は「調教でも今まではワンペースでしまいに切れる脚を使えなかったが、今回の最終追い切りではしまいでいい脚を使えているように、メリハリがついてきた」ときっぱり。手綱を執った石神道(レースはルメール)も「折り合いは全く問題なく、反応は抜群でした」と驚きを隠せず。前走の葉牡丹賞を2歳コースレコードで勝った素材の良さはダテではない。
まだまだ成長途上でも、イメージを上回る良化ぶりについて率直に聞くと、森一師からは「そういうところもありますし、着差はわずかでも、2戦負けなしで勝ってきているのは強いと思う」と力強い答えが返ってきた。底を見せていない魅力が、十分に伝わってくる動きだった。
(坂本 達洋)