【スプリンターズS】「短距離王国」安田隆行調教師 来年定年「締めくくります」最多4勝へ挑戦

国内ラストの芝スプリントG1参戦となる安田隆調教師
国内ラストの芝スプリントG1参戦となる安田隆調教師
前哨戦で鋭い末脚を発揮したアグリ
前哨戦で鋭い末脚を発揮したアグリ
ジュビリーヘッドはロードカナロア産駒
ジュビリーヘッドはロードカナロア産駒

◆第57回スプリンターズS・G1(10月1日、中山・芝1200メートル)

 秋のG1開幕戦、第57回スプリンターズS(10月1日、中山)に、アグリ、ジュビリーヘッドの2頭を送り出す安田隆行調教師(70)=栗東=は来年2月に定年を控える。自他ともに認める“短距離王国”が、同レース歴代単独最多4勝目を懸け、国内最後の芝スプリントG1に挑戦する。

 開業から28年半でJRA通算955勝を積み上げ、G114勝のうち6勝を芝6ハロンで挙げる。高松宮記念3勝は史上最多、スプリンターズS3勝は史上最多タイ(ともにG1昇格以降)。栗東・安田隆厩舎は「短距離王国」の名を欲しいままにしてきた。

 「そう呼んでもらえるのはうれしいですし、誇りに思います。一生懸命やってくれるスタッフ、馬たちには感謝しかありません」と安田隆調教師。定年引退となる来年2月まで、チームと全力で駆け抜けたいと語る。

 スプリンターズSは11年から13年にカレンチャンとロードカナロアで3連覇を達成した。トレーナーが一番の思い出と振り返るのが、ロードカナロアのG1初勝利となった12年。「何と言っても初めて1分7秒の壁を破った、あのレコード(1分6秒7)ですね。中山の馬場で、あんな時計が出るのかとびっくりしました」。のちに日本馬にとっての“鬼門”だった香港スプリント連覇を果たす龍王(香港名)が見せたパフォーマンスは、脳裏に焼き付いているという。

 自身最後の国内芝スプリントG1には2頭を送り込む。アグリは秋初戦のセントウルSで2着。最速の上がりで追い込んだ。「ジョッキー(横山典)が新しい面を引き出してくれました。1400メートルがベストと感じますが、3回続けて1200メートルを使ってきたので、対応してくれるはず。うまくさばければ」と大ベテランの手綱に託す。ジュビリーヘッドは「初めてのG1なのでチャレンジですね」と控えめだが、大舞台で父ロードカナロア譲りの底力発揮をひそかに期待している。

 勝てば藤沢和雄・元調教師を上回る同レース単独最多4勝目となる。「短距離王国と言われたからには、締めくくります!」と指揮官。輝かしい実績にまた一つ、新たな勲章を加えるか。(吉村 達)

 ◆安田 隆行(やすだ・たかゆき)1953年3月5日、京都府出身、70歳。72年に騎手デビュー。91年にトウカイテイオーとのコンビで制した皐月賞、日本ダービーのG12勝を含むJRA通算680勝。94年に調教師免許を取得し、翌95年に栗東で開業。26日現在、JRA通算8164戦955勝。重賞はG114勝を含む58勝。海外G1はロードカナロアとダノンスマッシュで香港スプリントを3勝。

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