◆第74回阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月11日、阪神競馬場・芝1600メートル=良)
第74回阪神ジュベナイルフィリーズ・G1は11日、阪神競馬場で行われ、1番人気のリバティアイランド(川田)が直線で一気に抜け出し、重賞初制覇を飾った。2馬身半差の完勝で2歳女王に輝いたドゥラメンテ産駒が、来春の牝馬クラシックのヒロイン候補だ。2、3着には2ケタ人気の伏兵が入り、3連単17万8460円の波乱となった。
完勝だった。リバティアイランドはスタートを決め、出たなりで中団から。勝負どころで、不利を受けないよう外めに誘導し直線に向く。周囲の安全を確認すると川田が追い出しにかかり、残り200メートルでステッキが入るとギュンとひと伸び。一気に勝負を決め、ラストは流す余裕すらあった。デビューから手綱を執る鞍上は「パドックからゲート裏まで集中力が増して、とてもいい雰囲気になったなと思っていました。何も言うことがないぐらい、いい走りでした」と2馬身半差で圧倒したドゥラメンテ産駒を絶賛した。
中内田調教師は第一声、「今までちょっと、あの…」と言葉を詰まらせた。前走は単勝1・4倍の圧倒的人気で2着。負けて強しだったが、この日も1番人気に推され、重みを感じていた。「前走で負けたり、ジョッキー(川田)がコロナ陽性で乗れるかという不安があったりしたなかで、馬が結果を出してくれて、ホントに良かったです」と胸をなで下ろした。川田も「ご心配とご迷惑をおかけしましたが、無事にルールのもと戻ってくることができました。本当にきょう乗れたことをありがたく思います」と感謝の言葉を述べた。
川田×中内田厩舎が存在感をアピールしたレースでもあった。17年以降、このコンビでJRA2歳重賞は7勝目。2歳重賞の騎手×調教師のランキングで、2位の吉田隼×須貝厩舎(ソダシ)の3勝を上回る独走ぶりだ。2人が初めて出会ったのは川田が小学6年生の時。中内田師の祖父が、佐賀で開業している川田の父・川田孝好調教師(66)の厩舎に預託していたことが縁で、兄弟のような時間を過ごした。
師走の仁川に誕生した2歳女王。トレーナーは「3歳になって心身ともに一つ二つ成長してくれれば」とまだまだ伸びしろがあることを強調し、来年の桜花賞(4月9日)を見据える。固い絆で結ばれた2人が23年のクラシックも盛り上げていく。(玉木 宏征)
リバティアイランド 父ドゥラメンテ、母ヤンキーローズ(父オールアメリカン)。栗東・中内田充正厩舎所属の牝2歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算3戦2勝。総獲得賞金は8543万2000円。重賞初勝利。馬主は(有)サンデーレーシング。