通算2000勝以上を挙げた騎手によって争われる園田競馬恒例の「ゴールデンジョッキーカップ」。今年は9月14日に行われ、JRAの武豊騎手が初優勝。レジェンドがまたひとつ勲章を加えた。
武豊と横山典弘騎手がスペシャルウィークとメジロライアンの勝負服を着用するということもあり、例年以上に注目を集めたシリーズ。企画者の1人である手塚誠競走課主査に今回の舞台裏を聞いた。
川崎競馬で例年1月に行われている佐々木竹見カップで、JRAの出場騎手がオリジナルの勝負服を着用していることにヒントを得て武豊と横山典に打診したところ、2人が選んだデザインがスペシャルウィークでありメジロライアンだったのだ。JRAからの出場騎手は、リーディング上位から選ばれるのが通例。レジェンド2人がそろって出場できたのも幸運だった。「タイミングがよかったですね」と手塚さん。
レース当日は、前日の2倍にあたる3048人が来場。当時を知る40~50代のファンの入場が多かったが、2頭の現役時代を知らないであろう20代のファンも少なくなかった。この2頭はウマ娘のキャラクターにもなっており、影響を受けたのは間違いない。「武さんや横山さん。そしてファンの皆さんが喜んでくれたのがよかった」と手塚さんもほっとした様子。勝負服に関しては来年以降も選考された騎手の状況に応じて考えていくという。
もう1人、影の主役といえるのが永島太郎調教師だ。現役時代、地方通算2043勝を挙げており、ゴールデンジョッキーカップへの出場資格はあった。ところが2000勝を挙げた2018年8月8日時点で同年の選考期間が終わっていたため出場はかなわず、翌年7月に調教師試験に合格したため、晴れ舞台を踏むことはなかった。その思いもあって、厩舎の看板馬を惜しみなく同レースに投入。8Rを勝ったメロパールと、9Rを制したディージェーサンは、いずれも永島厩舎の所属馬だった。
特にディージェーサンは、JRA復帰へ負けられない一戦だった。「速いのは分かっている。それなら名手ばかりがそろう、このレースに出走するのが最善だと思って」。鞍上には誰よりも尊敬する武豊。このレース、永島師は誘導馬に騎乗して先導する役割も担っており、現役時代の勝負服を着用していた。勝利の口取り写真で調教師と騎手がいずれも勝負服を着用している珍しい事態となった。「ユタカさんが横で『映えるぞ』って、ずっと言っていたのもうれしくて…。もちろん、記念のアルバムを注文しましたよ」。忘れることができない1勝に笑みが絶えなかった。