![17年5月、史上2人目の7000勝を達成し「7」を示す的場](https://hochi.news/images/2025/02/14/20250214-OHT1I51328-L.jpg)
国内最多となる地方通算7424勝を挙げた的場文男騎手(68)=東京都騎手会=が3月31日付で引退することを14日、TCK特別区競馬組合(大井競馬場)が発表した。51年5か月の騎手生活で積み上げた勝利数はもちろん、67歳での騎乗や勝利など数々の最年長記録を更新。以前から膝に負傷を抱えており、独特の騎乗スタイル“的場ダンス”で歴史を築いた「大井の帝王」が、ステッキを置く。
51年5か月の騎手生活に幕を下ろす。的場騎手は左膝じん帯損傷で昨年2月13日の騎乗後から休養し7月8日に復帰。約5か月ぶりの復帰レース(3着)で再び負傷すると、昨年12月13日締め切りの25年に向けた騎手免許更新の申し込みをせず。「最後の騎乗をお見せすることができず、申し訳ない」のコメントとともに引退が発表された。
昨年7月に大井競馬の主催者から「大井競馬施設内で起こした騎手同士の金銭上のトラブル」で同29日から4日間の騎乗停止処分となり、以降は騎乗がなかった。気合を前面に出した“的場ダンス”と呼ばれる騎乗で知られるが、以前から「復帰初日に乗って膝に違和感があった。思うように騎乗できないし、年齢的なものもあるしね」と漏らし、ムチを置く意向を示唆していた。
73年にデビューし、大井競馬で20年連続でリーディングを獲得。順調に勝利を積み重ね、2018年8月に初騎乗から45年で地方通算7152勝に到達。国内騎手の最多勝利記録を61歳で更新した。20年には中央も含め騎手として初めて黄綬褒章を受章。67歳での勝利、騎乗まであらゆる最年長記録を塗り替えた。
サッカーの三浦知良が57歳、スキージャンプの葛西紀明が52歳で活躍を続けるなか、68歳まで現役を続けた。「大井競馬の七不思議の一つ」という3歳クラシックレースの、東京ダービーは勝てないままで「まだまだ乗りたい気持ちがありますが」と無念さもにじませた的場騎手。17日に記者会見で心の内や今後についても語るとみられる。
的場の記録アラカルト
▽地方競馬通算7424勝 18年8月12日に7152勝目を挙げ、佐々木竹見(引退)の記録を更新。ほかにJRA4勝、海外で1勝(韓国)。JRAの最多勝利記録は武豊の4561勝。
▽重賞154勝 最後に重賞(18年東京記念シュテルングランツ)を勝ったときは62歳12日。当時の国内最年長重賞勝利記録だった(現在の記録は兵庫・川原正一の64歳6か月28日)。東京ダービーは39回挑戦して未勝利(2着10回)。JRAは昨年の中京記念をアルナシームで制した横山典弘の56歳4か月29日。
▽最年長勝利 最後の勝利を挙げた24年1月22日の大井10R(ラバテラリュージュ)での67歳4か月15日は国内最年長勝利。JRAは柴田善臣の58歳3か月4日。
▽最多騎乗数 4万3497回は国内最多。
(記録は14日現在、JRAと地方競馬の発表によるもの)
◆的場 文男(まとば・ふみお)1956年9月7日、福岡県生まれ。68歳。東京都騎手会所属。73年10月16日に大井競馬場で騎手デビューし、同年11月6日に初勝利。通算4万3497戦7424勝。重賞は07年帝王賞・JpnI(ボンネビルレコード)など154勝。地方全国リーディング2回。地方最年長勝利、最多騎乗、最年長騎乗記録を持つ。スポーツ報知に10年以上もコラムを連載していた。