![ダンスのような騎乗で勝利を積み重ねた的場](https://hochi.news/images/2025/02/14/20250214-OHT1I51336-L.jpg)
「大井の帝王」的場文男騎手が、半世紀以上にわたる騎手生活に別れを告げ、ムチを置くことが14日発表された。スポーツ報知紙上で10年以上もコラムを掲載。担当を長らく務めた志賀浩子記者が帝王の素顔を「見た」。
「的場文男」といえば、ファンから「的場ダンス」と呼ばれるダイナミックな騎乗だろう。膝に力を込めてグッと全身を押し上げ、沈み込む時点でムチを入れる。直線に入ると、この動作を終始リズム良く繰り返す。気合の入ったレースほど、踊りは激しくなった。
「直線での力強いダンスに目がいくが、繊細に折り合いをつけていた」と話すのは、同じ大井所属の後輩騎手、矢野貴之だ。位置取りを見極め、馬のリズムを計り、さらに豪快な動きで馬を前進させる。それが、的場ダンスの神髄だという。踊りに踊り、引退までに7424勝を挙げた。
多いときは週に7日、若手騎手並みに調教に乗ることで体力をキープ。さらに開催が終わると、その疲れを癒やしにサウナに通い、そこでマッサージを受けることを至福としていた。昭和世代のレジェンドらしく、明るく陽気で、後輩の冗談に付き合う、良き先輩だった。そして60代後半と思えないほど、勝負に対して貪欲だった。その負けん気と努力する強さは、後輩たちに引き継がれている。(2014~2021年、2023年~地方競馬担当・志賀 浩子)