◆第27回秋華賞・G1(10月16日、阪神・芝2000メートル)
秋華賞(16日、阪神)に出走するウインエクレール(美浦・畠山厩舎)の半兄は、香港G1・2勝を含む重賞7勝のウインブライト。堅実な成長力をみせる母系の潜在能力をチェック。ディープインパクトを父に持つ同馬に、きょうだい全てを管理する畠山師の期待も大きい。
“いぶし銀”のきょうだいが、光り輝く時を迎えた。ウインエクレールの母サマーエタニティは、芝1200~1400メートルで3勝を挙げて、先行力が武器だった。母も手がけた畠山調教師は「スピードがあって、1000万クラスでもめどが立つようになった時に脚元を痛めて、繁殖に上がった馬でした」と能力を評価していた。
母と同じく畠山師は、初子のウインエターナルから全てのきょうだいを管理してきたが、「最初の2頭は動きが重たくて、お母さんと似ていなかった」と中央では未勝利に終わった。しかし、父がサンデーサイレンス系のステイゴールドに替わると、潜在的なスピードが呼び起こされた。
3番子のウインファビラスは、デビュー2戦目で勝ち上がり、15年の阪神JFで2着と活躍。全弟のウインブライトは、優れた成長力を発揮して香港G1・2勝を含む重賞7勝と一流馬の仲間入りを果たした。「ステイゴールドになって、初めて“違うぞ”となった。ウインアイスバーグも体質が弱くなければ、という馬だった」と、素質の高さは共通していた。
輸入基礎牝馬は5代母ミスブゼン。一族には88年の阪神3歳S(当時)・G1、90年の毎日王冠・G2などを制したラッキーゲランや、13年のセントウルS・G2など芝の短距離路線で活躍したハクサンムーンなどがいる。母系のファミリーナンバー「F18」からは、07年の有馬記念を制したマツリダゴッホ、99年の菊花賞馬ナリタトップロードなどG1馬も属している。
母の7番子となるウインエクレールは、ディープインパクトを初めて父に迎え、血統的な期待はデビュー前から大きかった。1月の中山で新馬勝ちしたが、無理にクラシックを目標にせず、馬の成長を優先してきた。「オーナーサイドが大事に使ってきているから、まだこれからだと思う。この子も成長力が十分にあると思う」と畠山師。思い入れの深い血統には、大いなる素質と夢が詰まっている。(坂本 達洋)