【香港カップ能力分析】欧州から参戦の2頭の走りに期待

日本馬に立ちはだかる(左から)ウォームハート、イソップスフェイブルズ、オリゾンドールのオブライエン勢(カメラ・高橋 由二)
日本馬に立ちはだかる(左から)ウォームハート、イソップスフェイブルズ、オリゾンドールのオブライエン勢(カメラ・高橋 由二)

 G1香港カップが12月10日に迫った。過去5年の調教国別成績は日本が3勝、2着4回。5年連続で連対しており、中距離戦での強さを示している。地元の雄ロマンチックウォリアー(セン5歳、シャム厩舎)については前哨戦分析をご覧いただくとして、小欄ではまず日本勢からチェックしたい。

 プログノーシス(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)は、3走前のG1クイーンエリザベス2世Cでロマンチックウォリアーの2着。最後方7番手から鋭く伸びたが、3番手追走の勝ち馬もプログノーシスと同等のハイラップを刻んだため、位置取りの差を詰め切れなかった。逆転の策はG2札幌記念のようにポジションを早めに押し上げる戦術か。春の雪辱なるか注目だ。

 ヒシイグアス(牡7歳、美浦・堀宣行厩舎)は2021年の当レースで2着。ラヴズオンリーユーに短頭差まで迫る豪快な追い込みを見せた。近走の成績はひと息だが、シャティンへのコース替わりで巻き返しがあっていい。

 ローシャムパーク(牡4歳、美浦・田中博康厩舎)はG2オールカマーとG3函館記念を連勝。充実ぶりは見逃せないが、今回はアウェイでのG1初挑戦に加えて、大外のゲートを引いた。スタートから最初のコーナーまでの距離が短いため、いかにロスなく運べるかがポイントだろう。

 欧州勢による香港カップ勝利は、2010年のスノーフェアリー(イギリス調教馬)を最後に途絶えている。しかし今回は復権を狙える2頭がエントリーしてきた。

 ルクセンブルク(牡4歳、愛・Aオブライエン厩舎)は昨年のG1愛チャンピオンS(芝10ハロン)優勝馬だ。今年も愛G1タタソールズゴールドC(芝10ハロン110ヤード)を制し、英G1プリンスオブウェールズSで2着。前走の愛チャンピオンSでは平均ペースの逃げを打ち、G1英ダービー馬オーギュストロダンから半馬身差2着と、欧州の中距離路線で実績を築いている。

 オリゾンドレ(セン3歳、仏・コティエ厩舎)はフランスの中距離重賞を3連勝。いずれも上がり600メートルで32秒後半から33秒前半の速い脚を繰り出しており、抜群の決め手を持つ。前走のG1英チャンピオンSは3着だったが、道悪で伸び切れなかった感がある。ロマンチックウォリアーや日本勢との対戦が楽しみだ。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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