◆第75回東京新聞杯・G3(2月9日、東京競馬場・芝1600メートル)◆第65回きさらぎ賞・G3(2月9日、京都競馬場・芝1800メートル)
今春で東西7人のトレーナーが定年引退を迎える。騎手として輝かしい実績を残し、引退後の05年に厩舎を開業した河内洋調教師(69)=栗東=が競馬サークルで過ごしてきた55年間を振り返った。今週は第75回東京新聞杯・G3(9日、東京)にウォーターリヒト、第65回きさらぎ賞・G3(同、京都)にウォーターガーベラが出走予定。祖母の代から管理するきょうだい(兄妹)で、7年ぶりのJRAタイトルを狙う。
騎手として、調教師として実績を積み重ねてきたホースマン・河内洋が3月4日付で定年引退する。
「さみしいと言えばさみしいけど、決まっていることだからね。騎手を目指して、その先は考えてなかったけど、調教師もやらせてもらって、55年も競馬界にお世話になった。(父が調教師で)厩舎育ちでずっと馬と一緒にいたので、そこはさみしいかな」
騎手時代は重賞を134勝。冠名「アグネス」の馬での活躍が目立った。
「G1に限らず重賞を勝ってくれた馬もいる。1頭に絞るのは馬に失礼。ただ、アグネスレディーで初めてG1を勝たせてもらって、親子3代でG1を勝ってくれたね」
日本ダービーは何度も1番人気に推されながら勝てず。45歳だった00年のアグネスフライトで悲願を達成した。
「若い騎手が増えてくるなか、最後のチャンスと思っていた。直線も馬体をぶつけながらよくしのいで、馬も諦めず応えてくれた。そこを勝てたのは騎手人生の中でも大きいね」
調教師としてはJRA通算381勝(4日現在)。23年JBCレディスクラシックでは、アイコンテーラーで初めてG1級競走を勝った。
「うれしかった。思い出の馬はアグネスアークとヤマニンキングリーかな。騎手の方が気楽だったね。調教師は故障とかの気苦労が違う。ただ、(調教師生活も)あと少しやな」
今週は東京新聞杯にウォーターリヒト、きさらぎ賞にウォーターガーベラという厩舎ゆかりの血統の2頭がスタンバイ。
「お母さんもおばあちゃんもウチにいた馬。リヒトの前走は、勝ち馬とは枠の差が出た。先週の動きも良かったし、期待したい。ガーベラの2走前と3走前は、ちょっと距離が短かったね。きょうだいで勝ってくれれば最高だけど、無事に帰ってくるのが一番やな」
“チーム・河内”の底力を結集し、残り1か月も全力で駆け抜ける。(玉木 宏征)
◆きょうだい同日重賞制覇 1940年4月7日に母スリリングのキヨクジツ(兄)が中山農林省賞典障害(現在の中山大障害)、タイレイ(妹)が中山4歳牝馬特別(現在の桜花賞)を勝利。達成すれば85年ぶりの記録となる。