
武豊騎手(56)=栗東・フリー=が3月20日、愛知県・武豊(たけとよ)町の中央公民館で行われた「タイムカプセル35」の開封式に出席した。同騎手は20歳だった1989年10月5日、同町の合併35周年記念事業として、同町と同じ名前という縁で一日町長として封入式に来町。武豊町役場の中庭にタイムカプセルが埋設され、今年は70周年記念事業として開封イベントが行われた。
カプセルの中にあったのは小、中学生による作文や絵、当時0歳、35歳だった住民の写真、航空写真。「(タイムカプセルの封入は)うっすらですが、覚えています」と振り返った武豊騎手関連のものは当時のサイン色紙、一日武豊町長の委嘱状、封入式当時の写真が出てきた。20歳当時の姿がスクリーンに映し出されると「思ったより変わっていないと思います」。56歳になっても若さを保ち続け、現役で奮闘する武豊騎手に会場から拍手が送られた。
質問コーナーでは、次々と会場から鋭い質問を受けていた。「何歳まで現役を続けたいか?」の質問には「また次、何周年の記念のときに来させていただいて、そのときも現役でいたいという気持ちがある。ずっと続けていきたいと思っています」と生涯現役を宣言。「阪神大賞典で乗るショウナンラプンタの勝率は何%」の質問には「初めて乗る馬ですが、次は天皇賞(・春)になると思うので僕自身、非常に期待しています。100%はちょっと難しいけど、勝ちたい気持ちは強いです」。勝てば39年連続の重賞勝利。9勝目で自身の京都大賞典と並ぶ同一重賞勝利で最多タイの記録に向け、「メジロマックイーン、スペシャルウィーク、ディープインパクトなど、強い馬に乗せてもらってきたから。今年まだ重賞を勝っていないので勝ちたいね」と勝利を強く意識していた。
イベント後には「感動しました。素晴らしいですね。35年を考えさせてもらういい機会でした。同じ名前の武豊町の方々が応援してくれるのはうれしいです」と武豊町との絆に感謝。35年がたって日本の競馬界のレジェンドとなり、「20歳のときは何歳までやりたいとか考えていなかった。(騎手を)続けていくのは目標で、結果を出していかないと続けていけないから。また呼んでもらいたいですね」と、さらなる活躍を約束した。
封入当時は平成元年で消費税が初めて導入され、ベルリンの壁が崩壊した年。武豊騎手はデビュー3年目。年間133勝を挙げ、初のJRA全国リーディングジョッキーを獲得し、シャダイカグラ(桜花賞)、イナリワン(天皇賞・春、宝塚記念)、スーパークリーク(天皇賞・秋)でG1を4勝した。日本に競馬ブームが巻き起こり、その主役として当時の競馬界をリードしていた。当時を思い起こし「もう一度リーディングを取りたい」と闘志を見せた。