騎手13人含む163人が給付金不正受給 JRA情報把握も4か月放置

記者会見で頭を下げるJRAの吉田正義常務理事(左)ら幹部
記者会見で頭を下げるJRAの吉田正義常務理事(左)ら幹部

 日本中央競馬会(JRA)は6日、調教師や助手らが新型コロナウイルス対策の国の持続化給付金を不正受給した疑いがある問題で、騎手13人、調教師19人を含む165人が受給し、総額は1億8983万9222円に上ったとする調査結果を発表した。このうち163人の計約1億8700万円が不適切だったとして、返還済みか手続きを進めているとした。個人情報として実名は明らかにしていない。関係者2748人を対象に調べていた。

 今回の調査で新たに明るみに出た事実は、所属する騎手135人のうち13人の現役ジョッキーも受給していた点だ。日本騎手クラブ会長の武豊騎手は「持続化給付金の趣旨・目的などを十分理解せずに、一部の騎手が申請・受給を行ったことについて、日本騎手クラブを代表して、心よりおわび申し上げます。今後このようなことがないよう、あらためて騎手全員に厳重に注意する」とのコメントを発表した。

 茨城県美浦村と滋賀県栗東市のトレーニングセンター関係者らは、担当する馬がレースで獲得した賞金に応じて得られる報酬が新型コロナの影響を受けて減少したとして受給していた。この問題では、馬主でもある大阪市の男性税理士が昨年5月の申請受け付け開始直後から案内文を配るなどして勧誘。この男性税理士による申請・受給は104件に上っており、JRAは今後聞き取りを行う意向。男性税理士側は以前に、請け負った受給者は「100人未満」とし、「適正な手続きだった」と主張していた。

風聞の域出ない また、JRAが昨年10月に受給に関する情報提供を労働組合から受けていたが、「具体性を欠き、風聞の域を出ない」として調査していなかったことも判明。2月18日からの調査で実態が明らかになり、JRAの後藤正幸理事長は「あってはならないことで、中央競馬の信頼に関わる問題になったことをおわびする」とした。

 JRAは今後の再発防止策として〈1〉社会通念に照らして判断できるようになる研修の実施〈2〉厩舎関係者がJRAに直接相談できる窓口の設置〈3〉再発防止策が実施できているかを検証する外部の人材も含めた委員会の設置などを検討していることを明かした。受給した関係者の処分については、「厩舎従業員(助手、厩務員ら)は就業規則があり、調教師と騎手は会則がある。それに基づき、どういう判断をしていくか」(吉田正義常務理事)と説明した。

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