来年から変更となるJRAの負担重量 2003年以来20年ぶりの変更の狙いとは

グランアレグリア(左)が制した2021年のマイルCS 23年には各馬の斤量は1キロずつ増える
グランアレグリア(左)が制した2021年のマイルCS 23年には各馬の斤量は1キロずつ増える

 10月17日、JRAは2023年から負担重量を引き上げることを発表した。レースの格によって細かく分類されたこともあり、定例会見で発表された当日は原稿を書くのに苦労したが、先日、改めてJRAの担当者に丁寧に説明してもらう機会があった。せっかくなので、ここで紹介したい。

 まず、基本的な情報として古馬G1などの別定重量は基礎重量が58キロに統一され、牝馬、3歳馬に適用される減量幅に変更はない。

 具体的なレースで紹介すると、今週行われるマイルCSは

古馬57キロ

古馬牝馬55キロ

3歳牡馬56キロ

だが、来年からは

古馬58キロ

古馬牝馬56キロ

3歳牡馬57キロ

となる。

 重賞、平場でも3歳の馬齢重量をベースとしているレース以外は1キロ増がベースとなる。ざっくり言ってしまえば、例外はあるものの、基本的には来年から全体的に1キロ重くなる、と言うことだ。

 重量変更はJRAとしては03年以来、6度目の変更となる。10月17日の定例会見では「騎手の健康と福祉、および将来にわたる優秀な騎手の人材確保の観点から」というお堅い文面の説明だったが、改めて理由を担当者に聞いてみると、騎手の健康、いわゆる過度の減量を抑止していこうという流れは世界的に広がっているという。日本人の体格自体も昔と比べて大きくなっていることから、数年前から問題意識を持って議論が行われ、来年からの適用に踏み切ったとのことだ。

 気になったのは、騎手のことを考えた今回の変更は、馬の負担にはならないのかということ。担当者によると、「事故(故障)は様々な要因によって起きるものなので、過去に引き上げたときの実績からも重量が上がったこと自体での事故はそれほど増えないと考えている」とのことだったが、影響が出るかどうか、注意深く見守っていきたい。(中央競馬担当・西山 智昭)

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