◆第74回朝日杯FS・G1(12月18日、阪神競馬場・芝1600メートル)
第74回朝日杯FS・G1(18日、阪神)に出走するドルチェモアは、13年の桜花賞馬アユサンの子供だ。その母子の生産から育成まで行ってきたのが北海道日高町にある下河辺牧場。母子G1制覇へかける厚い期待に「母を訪ねて」で迫った。
ゆかりの場所で躍動する。ドルチェモアが無敗の2歳王者を狙う朝日杯FSが行われるのは阪神マイル。13年の桜花賞で母のアユサンが3歳牝馬の頂点に立った舞台だ。「体を見ても、走りを見ても、絶対にマイルだと思う」。これまで阪神JF3勝など2歳戦でも結果を出してきた須貝調教師が早くから適距離を見極め、マイル中心の起用で大一番に備えてきた。
北の大地からの熱い思いが後押しする。母子ともに北海道の下河辺牧場が生産した。「母胎の管理から子馬の育成まで、すべて行っている。一貫してやれるのは強みだと思います」と下河辺行雄代表(51)。米国の繁殖セールで購入した祖母のバイザキャットに始まり、その娘のアユサンは子供の頃から引退後の今も、ドルチェモアは今夏に入厩するまで常に身近で接してきた。だからこそ、思い入れは強い。
昨夏には育成施設にある1000メートル強の坂路をウッドチップに入れ替えた。「坂路だけではなく、無理をさせずに今まで以上の負荷をかけられるように普段の運動なども考えています」。その施設と意識のもとで育成された現2歳世代は牝馬でも先週の阪神JFでシンリョクカが2着。努力は確実に形になりつつある。
自らが手がけてきた2頭による母子G1制覇。壮大なチャレンジへ、自然と胸は高鳴る。「それが僕らが一番目指しているところです。自分たちが育ててきた血統という自負はあるし、そこから枝葉も広がってくると思います」と同代表。強い思いを乗せた夢は、きっと現実へと変わる。(山本 武志)