
今週末にデビューを迎える新人騎手7人が27日、東西トレセンで意気込みを語った。JRA初の沖縄出身騎手となる上里(うえざと)直汰(17)は、甲子園準Vメンバーだった父譲りの運動神経が自慢。18回目の誕生日となる3月1日に初勝利を狙う。
家族の、そして地元の期待を背負って史上初の舞台に立つ。上里は沖縄県出身では初のJRA騎手としてデビューを目前に控えている。「両親が親戚を引き連れて20人くらいで来るらしくて。緊張するから聞きたくなかったです」と苦笑いをうかべつつ、「沖縄の人もみんな応援してくれているので、期待を背負って頑張らないとなと思っています」と気を引き締めた。
当日、競馬場で見守ってくれる父の直也さんは、沖縄水産高校で90年の夏の甲子園に内野手で出場して準優勝というキャリアの持ち主。「運動神経は父譲りかもしれないですね。小さい頃から『自分の好きな道を進め』と言ってくれていました」。小学校5年の時に、将来の夢を書いて提出しなければいけなかった時、父に相談すると「ジョッキーはどう?」と勧められた。「もともと体が小さくて、運動が好きで、動物が好き。それで少しずつ騎手に興味を持って、という感じですね」と目指したきっかけを明かした。
乗馬未経験で入学して精神的にきつい時期もあったが、吸収も早く最終的には総合3位の成績で競馬学校を卒業。「他の人より努力もしてきたつもりですし、いつか追い越してやるくらいの気持ちで取り組んでいました」と振り返った。
デビューが近づき、プロとしての自覚も芽生えてきた。「生産、育成牧場から、馬主さん、調教師、厩務員さんなど、いろいろな人の思いを背負うというのを日に日に実感しています。責任があるし、頑張らないといけないなという気持ちが強いです」。デビューする3月1日が18歳の誕生日という持ってる若武者が、“開幕戦”でホームランを狙う。(西山 智昭)
◆上里 直汰(うえざと・なおた)。2007年3月1日、沖縄県生まれ。美浦・加藤士津八厩舎所属。特技は琉球空手。目標とする騎手は丹内、横山武。身長158・3センチ、体重47・1キロ。