【中山記念】昨年10月故障…完治まで6か月の症例も驚異的な回復力で出走にこぎつけた7歳馬で鮫島一歩調教師有終Vだ

在厩で乗り込み万全な状態に仕上げてきたリフレーミング
在厩で乗り込み万全な状態に仕上げてきたリフレーミング
中山記念にリフレーミングを送り出す鮫島調教師
中山記念にリフレーミングを送り出す鮫島調教師

◆第99回中山記念・G2(3月2日、中山競馬場・芝1800メートル)

 東西8人の調教師が今週末の競馬を最後に、別れを告げる。鮫島一歩調教師(70)=栗東=は、第99回中山記念・G2(3月2日、中山)に昨夏の小倉記念をレコード勝ちしたリフレーミングを万全の状態で送り出す。

 鮫島厩舎の集大成を、最高の形で締めくくる。ラスト重賞の中山記念にリフレーミングを送り出す鮫島調教師は17年にエリザベス女王杯をモズカッチャンで制し、G1タイトルを獲得。6人の調教師しか達成していないJRA全10場重賞制覇の偉業も成し遂げた。不屈の闘志で厩舎ラストデーに間に合わせた愛馬とともに、最後の勲章をつかみに行く。

 昨年の小倉記念(中京・芝2000メートル)を1分56秒5のコースレコードで制し、10月27日の天皇賞・秋でG1に初挑戦する予定だったが、最終追い切り前に右前脚支持じん帯の故障が判明。完治まで6か月かかる症例にも関わらず、驚異的な回復力で出走にこぎつけた。19日の1週前追い切りは、栗東・坂路で51秒1―12秒1の好時計をマーク。けがの影響をみじんも感じさせない力強い動きを披露した。「最後は(スピードを)出すなという指示。それでも馬なりであの感じだからね。在厩でプールと運動で過ごしてから、びっしり乗り込んできた。脚元の調子もいいし、万全の状態で出せる」と鮫島師は笑みを浮かべた。

 トレーナーにとっても特別な一頭だ。04年の日経新春杯で、00年に開業した厩舎のJRA重賞初勝利を挙げるなど、冬に活躍した功労馬の名を挙げ、思い出を語った。「この馬はシルクフェイマスに匹敵するくらい気性が荒くてね。去勢しないといけないかと思っていたけど、担当がいろいろ工夫してここまでもってきてね。それで重賞も勝ってくれたし、思い入れは強いね」。手を焼かされたぶん、愛情もひとしおだ。

 「最後だし、勝って終わってくれたら一番いいけど、まずは無事に帰ってきてくれたら」と指揮官。夏に無類の強さを発揮した“夏男”が、寒さの緩む中山で有終の美を飾る。(山本 理貴)

 ◆夏に強い鮫島調教師 12年にパドトロワがアイビスSDとキーンランドCを制し、初のサマースプリントチャンピオンに輝く。14年にはリトルゲルダが北九州記念、セントウルSを勝利し、2度目の同タイトルを獲得した。JRA重賞全26勝中、12勝を6~9月に挙げている。

 ◆鮫島 一歩(さめしま・いっぽ)1954年4月12日、鹿児島県出身。70歳。栗東・増本豊厩舎の調教助手を経て、99年にJRA調教師免許を取得し、00年3月に栗東で開業。JRA通算7216戦591勝(うち重賞26勝)。04年に日経新春杯をシルクフェイマスで制し、JRA重賞初勝利。16年福島牝馬Sをマコトブリジャールで勝利し、史上5人目のJRA全10場重賞制覇を達成。17年エリザベス女王杯をモズカッチャンで勝ち、G1・62回目の挑戦で初勝利を飾った。

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