【菊花賞】福永祐一騎手×友道康夫調教師「馬券圏内ナンバー1コンビ」セレシオンで一発狙う

福永(馬上)と友道師が菊花賞で一発の期待を持つセレシオン
福永(馬上)と友道師が菊花賞で一発の期待を持つセレシオン

◆第83回菊花賞・G1(10月23日、阪神・芝3000メートル)

 第83回菊花賞・G1(23日、阪神)は皐月賞、日本ダービーの1、2着馬が不在という65年ぶりの乱戦模様。直近10年で2勝2着3回3着1回の福永祐一騎手(45)=栗東・フリー=、1勝2着2回3着2回の友道康夫調教師(59)=栗東=という馬券圏内ナンバーワンコンビが期待を胸に送り込むのがセレシオン。タフさと器用さが求められる阪神・芝3000メートルに「合っている」という伏兵を、名手が頂点に導く。

 熟練の手綱さばきは長丁場でこそ光り輝く。福永は過去10年の菊花賞で2勝を挙げ、3着以内も単独トップの6回。今年は2年連続での阪神開催だが、昨年も牝馬のディヴァインラヴで3着に入り、昨春には同じく阪神で行われた3200メートルの天皇賞・春もワールドプレミアで制覇した。「阪神と京都では全然違う。2回(直線の)坂を上るから。阪神では最後にタフさ、本当の長距離の適性が求められるというかね。内回りなので器用さも求められると思う」

 その冷静な観察眼で熱い視線を向けたのがセレシオンだ。前走の阿賀野川特別で初コンビを組み、古馬相手に3馬身半差の圧勝を演じた。「スピードの持続力があると思うし、適性があるんじゃないかな。ある程度、早い段階から(この馬で)菊花賞と決めていたわけだから、可能性は感じている」。その言葉通り、今年は東西のトライアルに騎乗せず。セレシオンとの大舞台を待っていた。

 もともと、3000メートル以上の長距離戦はレース数が少ない。そのなかでデビュー以来、27年間で81鞍に騎乗してきた。これは現役3位になる。「戦法が決まっている馬以外、長距離は経験がより必要とされるのかな。自分の引き出しも増えてきているし、導き出せる答えの精度も高くなっている。それは経験則でしかないから」。今まで一線級で積み重ねてきた年月が、舞台が替わっても全く動じない平常心と強さを生んでいる。

 今年は65年ぶりに春2冠の連対馬が不在。混戦だからこそ、名手の存在感が際立ってくる。「ちょっと気難しい馬ではあるけどね。力を発揮できる形に持っていければ上位争いはできると思う。一発の魅力はある」。確かな手応えと野心を胸に、今回も仁川の持久戦を熱くする。(山本 武志)

 ◆京都3000メートルと阪神3000メートル 従来、菊花賞が行われていた京都競馬場と、昨年に引き続き今年開催される阪神競馬場のコース形態は、坂の位置が大きく異なる。

 ▼急斜面 向こう正面から3コーナーにかけて上り、高低差4・3メートルを下る京都外回りに対し、阪神は直線にラスト200メートル付近から約120メートルの間に1・8メートルを駆け上がる。高低差こそ京都よりないが、傾斜が大きく、スタミナが残り少ないゴール前で急坂を乗り切るタフさが求められる。

 ▼上がり3ハロン(1ハロン=200メートル) 京都では直線に向け、坂の頂上付近にあたる残り800メートルからペースアップ。勢いがついたまま平坦な直線に入り、瞬発力勝負になりやすかった。18年は1着フィエールマンなど、上位3頭を含む5頭が上がり3ハロン33秒9。20年もラスト3ハロンの3位以内が馬券圏内を独占した。昨年阪神で行われた菊花賞で上がり3ハロン3位内で馬券圏内になったのは2着オーソクレース(34秒8=全体3位)のみ。内回りなだけに末脚勝負だけでなく器用さも求められる。

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