

◆第61回京都金杯・G3(1月5日、中京・芝1600メートル、良)
2023年の中央競馬の開幕を告げる東西金杯が5日行われ、素質馬がG1再挑戦への扉を開いた。中京競馬場を舞台にした芝のマイルG3、京都金杯は5番人気のイルーシヴパンサー(岩田望)が強烈なイン差しを決め快勝。昨年8着に敗れたG1安田記念へつながる重賞2勝目を挙げた。
これ以上ない幕明けだ。中団のインで直線に向いたイルーシヴパンサーは、岩田望の激しいアクションに応えて猛進。内のわずか1頭分のスペースでもひるまない。巧みに進路を取り、残り約100メートルで馬群を突き破った。トップタイのハンデ58キロを克服し、11か月ぶりの復活V。久保田調教師は「ようやくこの馬のいいところを出せた」と安どの笑みを見せた。
1勝クラス(21年6月)から4連勝で昨年2月の東京新聞杯を制覇。しかし、満を持して臨んだ安田記念は1番人気で8着。8月の関屋記念も11着。それでも指揮官は焦らなかった。「夏に無理せず、秋をパスして良かった」。立て直しを優先したことが功を奏した。
岩田望は前走も騎乗予定だったが、レース前日に落馬負傷したため乗り替わり。“2度目の正直”で実現したコンビだった。昨年は重賞初制覇を含む2勝、年間103勝をマークした若手のホープ。「(金杯を勝てて)すごく縁起がいいと思いますし、これから一年続くので、この調子で勝ち星を挙げたいです」と決意を新たにした。
目指す場所はただ一つ。久保田師は「最終的には安田記念が大目標」と明言した。連覇がかかる東京新聞杯は斤量が重くなるため、ローテーションは今後決められる。「また今年からもう一段階上のところに挑戦していける」とトレーナー。縁起物の重賞での勝利をステップに、今年こそG1タイトルを手にする。(水納 愛美)
◆イルーシヴパンサー 父ハーツクライ、母イルーシヴキャット(父キングカメハメハ)。美浦・久保田貴士厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・追分ファームの生産。通算12戦6勝。総獲得賞金は1億4969万8000円。重賞2勝目。主な勝ち鞍は22年東京新聞杯。馬主は草間庸文氏。