◆第37回根岸S・G3(1月29日、東京・ダート1400メートル)
騎手時代にJRA重賞で129勝を挙げた蛯名正義調教師(53)=美浦=が根岸S・G3(29日、東京、1着馬にフェブラリーSの優先出走権)で、トレーナーとして初タイトルを狙う。開業から間もなく1年が経過する今、昨夏に転厩してきた昨年の覇者、テイエムサウスダンで大きな一歩を記すか。
21年2月にジョッキーを引退し、昨年3月に厩舎を開業した蛯名正調教師。これが5度目の重賞挑戦となる。「早く勝てればいいに越したことはないけど、丁寧に馬をつくって、できるだけいい状態で出走させることを心掛けています。重賞でも平場でもやることは変わらないですね」と自然体を崩さない。
騎手としては歴代5位の2541勝を挙げたが、調教師1年目となった昨年は11勝に終わった。「もっと勝てたのかな、というところもあるし、やって分かったこともある」と反省と手応えが口を突く。続けて「やってきたことを糧に、厩舎スタッフと去年以上の結果を残してファンや馬主さんに喜んでもらいたい」と結果で恩返しするつもりだ。
根岸Sには昨年7月14日付で栗東・飯田雄厩舎から転厩してきたテイエムサウスダンを送り出す。昨年のこのレースは中団から鮮やかな末脚を繰り出して勝利。5つ目の重賞タイトルをつかんだ実力馬だ。転厩後は6ハロンの交流重賞で〈2〉〈7〉着。この中間は自らも騎乗したが「1200メートルが合っていないんじゃないかな。忙しい感じがする。距離はもっと長いところでもいいんじゃないかな。乗った感じは乗りやすいし、折り合いもつきそうなのでね」と、馬自身にとっては連覇を狙う1ハロン延長の一戦に好感触だ。
今回は初めて鞍上にルメールを迎える。重賞では初のタッグだが、「乗りやすい馬だし、あれだけのジョッキーだからこういうタイプの馬だと話せば分かってくれる」と信頼は厚い。今後はG1挑戦を見据えるサウスヴィグラス産駒。「フェブラリーSは去年2着だし、今年は何とか勝てるように頑張りたい」と力を込めたトレーナー。胸を張って挑む大一番へ、厩舎初タイトルを手に向かう。(石行 佑介)
◆蛯名正調教師の騎手時代の重賞初勝利 デビューまる5年を終えようとしていた92年2月22日、フェブラリーSの前身で、当時ハンデ重賞で行われたフェブラリーH・G3を10番人気のラシアンゴールドで制覇。同馬とのコンビでは、同年の帝王賞(大井、当時は中央競馬招待競走)で1着(横山典騎乗のナリタハヤブサと同着)にもなっている。
◆蛯名正調教師の騎手時代の根岸S 第2回(1988年)の初参戦から引退する2021年までに21度騎乗したが、白星はなく【02217】。96年のビッグショウリ(2番人気)、14年のノーザンリバー(8番人気)の2着が最高成績。