◆第27回ドバイ・ワールドカップG1(3月25日、メイダン競馬場、ダート2000メートル)
【ドバイ(UAE)21日=ペン・松末 守司、カメラ・高橋 由二】ドバイワールドカップデー(25日、メイダン競馬場)の諸競走に出走する日本馬が、現地で最終追い切り前日の調整を消化した。1着賞金9億円超のワールドCに参戦する8頭は、大将格のパンサラッサなどがダートコースを試走。シーマクラシック連覇を狙うシャフリヤールには2月末に騎手を引退した福永祐一技術調教師(46)=栗東=が騎乗した。WBCで決勝進出を決めた侍ジャパンに続けとばかり、各陣営が頂点に向けてペースアップした。
劇的な逆転勝ちを収めた侍ジャパンの熱風は、1万キロ以上離れた中東にも届いた。競馬の世界一を決めるドバイ・ワールドCに、過去最多の8頭で挑む日本勢。2月のサウジC制覇で大谷級のスターホースとなったパンサラッサなど多士済々の顔ぶれで、サウジC2着の強豪米国馬カントリーグラマーを迎え撃つ。
海外で芝&砂のG1を制した「二刀流エース」パンサラッサはこの日、ダートコースを軽快にキャンターで駆け抜けた。サウジアラビアからそのままドバイへと転戦しているが、当地は海外初遠征でG1を制した昨年、経験済み。落ち着き払ったいい雰囲気を醸し出している。担当の池田厩務員は「静かな環境がこの馬に合っている。オンとオフがより一層、高められている感じ。普段は無駄なエネルギーを使わないで、必要な時にスイッチが入る」と状態の良さを伝えた。
サウジCは20年12月以来のダート戦だったにもかかわらず、ハナを奪って逃げ切り、約13億円のドリームマネーをつかみ取った。連勝のカギはサウジとは違う砂質にあるが、「サウジはダートコースが芝より外にあるけど、こっちは芝が外。コーナリングも上手だし、こっちのダートの方が合いそうな感じはある。歴史を作りたいね」と同厩務員。世界一の期待は大きい。
この日は主役を狙う他の日本勢も、ダートコースをキャンターで周回した。福永調教師が調教に騎乗した昨年のジャパンC馬ヴェラアズールも、デビューから16戦のダート出走後に芝に転じた二刀流。今回が初の海外挑戦だが、福永師は「環境にだいぶ慣れてきて栗東にいる時と同じ雰囲気。今日乗った感じは、こっちに来て一番良かった」と太鼓判を押した。
昨年の皐月賞馬ジオグリフはサウジC4着からの転戦。皐月賞後は勝ち星をつかめていないが、二刀流2戦目を前に、木村調教師は「いつものジオグリフになってきている」と目尻を下げた。他にもカフェファラオ、ジュンライトボルト、テーオーケインズなど、G1タイトルの保持者がズラリ。侍ジャパンにも負けない史上最強の布陣で、世界の頂点に立つ。
〈展望 日本勢最大のライバル〉海外の同一レース史上最多となる8頭がエントリーした日本馬。サウジCで世界に衝撃を与えたパンサラッサに大きな注目が集まるが、砂G1・3勝のカフェファラオ、交流G1連勝中のウシュバテソーロ、皐月賞馬ジオグリフなど“世界一”に向けて分厚い陣容が集結した。
海外勢は米国馬カントリーグラマーの力が一枚抜けている。21年5月の米G1制覇から8戦して連対率10割の安定感。昨年の覇者でもある。前走サウジCも負けて強しの2着と、日本勢にとって最大のライバルだ。