◆皐月賞追い切り(12日・美浦トレセン)
皐月賞(16日、中山)の出走予定馬18頭の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。美浦・Wコースでラスト1ハロン11秒2の超抜の伸びを見せて「G評価」となったのは、京成杯の覇者ソールオリエンス。過去最少キャリア4戦目でのVを決めたディープインパクト、コントレイルなどを超える3戦目での皐月賞制覇の可能性を坂本達洋記者が「見た」。
迫力満点の追い切りだった。ソールオリエンスは美浦・Wコースの馬場の外めを通りながら、最後の直線でも抑えきれない手応えで加速。5馬身先行した外ヴァーンフリート(4歳2勝クラス)に半馬身先着した。報道陣からラスト1ハロン11秒2(6ハロンは83秒8)と聞かされた横山武騎手は「文句なし。状態は言うことなし」と笑顔。強風が吹き荒れる天候のもと、体感以上の好時計が出ていたことに驚きを隠しきれないように見えた。
優れた“エンジン”がなせる業だろう。前走の京成杯は4コーナーで外に大きく膨れたが、直線では抜群の切れ味を発揮して2馬身半差の完勝。鞍上が「普段は右側にもたれるしぐさを見せるが、レースでは左にもたれて迷惑をかけてしまった。あの内容で勝つのですから強い馬」。ロスがありながらの2戦目での重賞Vから非凡な能力を持っていることは間違いない。
皐月賞の最少キャリアでの優勝は05年ディープインパクト、20年コントレイルなどの4戦目。デビュー3戦目での制覇となれば史上初の快挙だ。レースが近づくにつれ、手塚調教師の期待が大きくなっていることを感じる。「過去の2戦とも少頭数だったといろいろ言われるが、精神的に強い子なので、そのへんもカバーしてくれると思う。本質的にスピードがあるので、流れが速くなっても問題ない。人気にしていただいても、それに応えるだけのレベルの馬かなと思っています」と胸を張った。
陣営の見立ては完成するのは秋以降。それでいて、レースや調教のパフォーマンスはもはやG1級だ。21年に3戦3勝で臨んだエフフォーリアで無敗制覇している横山武騎手の「ポテンシャルは高いと思う」という言葉通りに、大混戦のG1を勝ち抜く姿が浮かんでくる。(坂本 達洋)