【スプリングS】祖父ブラックタイド、父キタサンブラックに続く3代同一重賞V 上原佑紀調教師は平成生まれ初

雨馬場のなかを力強く突き進み重賞初制覇のピコチャンブラック(左)(カメラ・荒牧 徹)
雨馬場のなかを力強く突き進み重賞初制覇のピコチャンブラック(左)(カメラ・荒牧 徹)

◆第74回スプリングS・G2(3月16日、中山競馬場・芝1800メートル、重)

 皐月賞(4月20日、中山)トライアルの第74回スプリングS・G2は16日、中山競馬場で行われ、ピコチャンブラックが雨の中を力強く突き進み、重賞初勝利を飾った。同レースで初の3世代同一重賞勝利となった。開業3年目の上原佑紀調教師(35)=美浦=は平成生まれの調教師で初の重賞V。3着までが優先出走権を得た。

 勝利への執念がほとばしっていた。ピコチャンブラックは直線で抜け出すと、跳びがきれいなため得意とは言えない道悪馬場を懸命に駆け抜けた。外からフクノブルーレイク(2着)が迫ったが、石橋が左ムチの連打で鼓舞して首差でしのいだ。鞍上は「この中間も一生懸命、厩舎と話し合ってやってきたことが競馬に生きて走ってくれたことが一番よかった」と会心のガッツポーズが飛び出した。

 タフな18頭立てで集中力が続かなかった前走のホープフルSは13着に大敗し、秘める能力を出せずに終わった。昨年のアイビーS(2着)以来、2戦ぶりのコンビとなった石橋は、この中間は4週連続で追い切りに騎乗。入念にコンタクトを取って課題に向き合い、レースでは好位から進めて後続が競りかけてきた3コーナーで早々とハナへ。「あまり速くなければ前に利があるなと感じていたので、あとはこの馬のリズムを崩さないように」と好判断も光った。

 開業3年目で35歳の上原佑調教師は、平成生まれのトレーナーとして初の重賞制覇を飾った。「うちの厩舎の初勝利も石橋さんで、感慨深いというか、一生忘れない勝利になった」と笑顔でかみ締めた。G15勝のダイワメジャーなどを手がけた父の博之調教師、助手時代に仕えた堀調教師からは多くのことを学び、「(堀先生は)馬最優先主義で、かなりストイックにやられていた」と、その哲学は大きな財産になっている。

 祖父のブラックタイド、父のキタサンブラックに続く3代制覇も達成し、クラシックへの道筋がはっきり見えた。「集中力が長く続かない懸念があったので、今回も(先週の報知杯)弥生賞ではなく1ハロン短いこちらにした背景もあるが、今日くらいの精神状態なら距離は問題ない」と上原佑師は、その先に待つ大舞台を思い描いた。(坂本 達洋)

 ◆ピコチャンブラック 父キタサンブラック、母トランプクイーン(父ネオユニヴァース)。美浦・上原佑紀厩舎所属の牡3歳。北海道新ひだか町・チャンピオンズファームの生産。通算4戦2勝。総獲得賞金は6889万4000円。重賞初勝利。馬主は石部美恵子氏。

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